ちゃんむら

狂った果実のちゃんむらのレビュー・感想・評価

狂った果実(1956年製作の映画)
4.5
享楽的、非道徳的で、耽美的、「時計じかけのオレンジ」を観た時の気持ちに似ていました。
カット割が素晴らしく、一枚一枚の絵の美しさもあり、小説の映画化として、最高の出来栄えです。
戦後日本について論じる若者達の顔のアップ、葉山の海とヨットのシーン。
太陽を浴びるカップル、ヨットに乗る兄弟と女の構図。助演の岡田真澄の絶妙な立ち位置。

兄貴が書いたこの小説が、今でも残る名俳優「石原裕次郎」の像を作り上げたのだということを実感し、そこに歌声と肉体が宿って、神秘的なものとして完成されたのですね。

ヌーベルバーグにも影響を与えた日本映画の傑作です。
こんな傑作があるって、当時の日本は映画先進国だったのですね。