スワヒリ亭こゆう

アメリカン・ギャングスターのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

4.0
リドリー・スコット監督、主演はデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ。これだけでも凄いんですけど脇を固める俳優にジョシュ・ブローリン、キュウェテル・イジョフォーと豪華キャストです。

実在する黒人の麻薬王フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)がギャングの運転手から麻薬王に登り詰めるストーリーと、フランクが売り捌くヘロイン【ブルーマジック】の元締めを追う正義感があるが私生活では堕落している麻薬捜査官リッチー(ラッセル・クロウ)二人の主人公から成る映画になっています。
フランクが麻薬王になる様はスマートにクールに見せていましたね。
実話なのがビックリする程にスキャンダルな麻薬の輸入方法やイタリアンマフィアのやり方を真似た家族で構成された組織作り。
この辺りは悪だけど面白いです。
何よりフランクが実際にはどうか分からないけど映画の中で麻薬をやらなかったのが良かったです。
それをしてしまうと観てる側としては辛い。実話に説得力が無くなってしまいます。
流石、リドリー・スコットですね。

リッチーのキャラも良くて、足がつかない金を押収して正直に押収品として警察に差し出す。
この時代、警官が正直に押収品を差し出すと周りの警官から爪弾きにされてしまう。そのぐらい横領が当たり前だったんですね。

更に悪徳警官にジョシュ・ブローリンが出てきたりして、リッチーとの比較やフランクに対しても賄賂を要求したりします。
麻薬捜査官が麻薬の売人に金をせびる時代だったという事なのでしょう。
犯罪映画として観た時に警察が悪に染まる様は面白く思えます。リアルに日本で同じ事が起きたら腹が立つ筈なのにハリウッド映画だと面白く思えます。
映画自体が悪に染まっていき、勧善懲悪じゃなくなっていくのが面白いんだと思います。

主演の二人は終盤まで同じシーンでは出てこないのも良かったです。
この二人の名優を使うなら同じシーンを増やしたい筈なのに敢えてストーリー展開を重視した結果だと思うので、リドリー・スコット監督がどう見せるのが面白いのかを分かって作っているんでしょう。