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私の20世紀のbennoのレビュー・感想・評価

私の20世紀(1989年製作の映画)
4.3
先日、イルディコー・エニェディ監督の『心と体と』がとても印象的でしたので、同監督のデビュー作『私の20世紀』を鑑賞…。

20世紀初頭を舞台に、幼い頃に生き別れた双子姉妹の人生を描いたストーリー…。

1880年、ニュージャージー州メンローパークの夜…エジソンの電球の眩ゆい灯りが点った頃、ハンガリーのブダペストでは双子姉妹のリリとドーラが誕生しました…。ふたりはやがて孤児となり、別々の紳士に引き取られ離れ離れになります。

時は流れ1900年の大晦日…内向的な革命家となったリリ…大胆不敵な詐欺師となったドーラ…。

ふたりはオリエント急行に偶然乗り合わせますが…。

そして、Zと呼ばれる男性がふたりの前に現れ、別人と知らぬままふたりを愛することに…。

主軸となるストーリーはあるものの、本作ではエジソンを登場させ色々な発明品を持ち出して科学の発展を讃えます。ただ気になるのはエジソンの浮かない顔! 科学の発展を喜ぶべきなのに…同時に憂慮を感じます。

また、実在する哲学者オットー・ヴァイニンガーの"女性と参政権"という社会風刺も取り入れています…実に封建的なミソジニー!! 最終的には拗らせ過ぎて「女性は存在しない! 」と言う始末…腹筋が崩壊しそうなくらい笑えます。

そして玉手箱をひっくり返したような不思議な世界へ行ったり来たり…メルヘンチックな映像美と絶妙に奏でられる音楽…動物たちも大活躍です。

草原、線路、砂浜を颯爽と駆け抜ける解放されたパブロフの犬…身の上話を語る動物園のチンパンジー…どこからともなく現れて人々を導くロバ…そして井戸端会議のようにペチャクチャ話す宝石を散りばめたような夜空の星たち…。

全てはあの雪の夜…孤児となり、マッチ売りをしていたリリとドーラ…マッチを一本擦って…ウトウトと…彼女たちが見た夢物語だったのでしょうか?

彼女たちを愛した男性Z…そうそう、やっぱり! 大好きなタルコフスキー 『ノスタルジア』の詩人アンドレイ!! とても印象深いイケオジの俳優さんですෆ*


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