私の20世紀の作品情報・感想・評価

私の20世紀1989年製作の映画)

MY 20TH CENTURY

製作国:

上映時間:102分

ジャンル:

4.1

「私の20世紀」に投稿された感想・評価

AS

ASの感想・評価

4.4
筋はあまり追いかけずポエティックな時間の流れに身を委ねるが吉。電気を多用した陰影深いショットもそうだけど、ラストの光へ向かって浮遊するカメラは意識が遠退くぐらい美しい
(82)
「心と体と」観て、90年代サブカル漫画みたいな精神性勝手に感じて、これ観たんすけどなんとなく腑に落ちた
どっかで書かれてた詩的オマージュって言葉しっくり来る
ラストカットめちゃくちゃ良い

@ VHS
[20世紀、それは”映画の世紀”] 100点(オールタイムベスト)

ようやく手に入れたエニェディのカメラ・ドール受賞作。ソフト化されたエニェディ作品は制覇したことになる。どうも評判は芳しくないっぽいが、私は気に入った。”闇の中に見たこともない光が灯った。それは20世紀の光だった―――”というキャッチフレーズも詩的で美しい。

1880年、ニュージャージーはメンロパークでのライトパレードから物語は始まる。炎と天体しか光を知らなかった19世紀以前との明確な対比を鮮やかに提示したオープニングである。同じ頃、ブダペストに産まれた双子の姉妹リリとドラは運命のイタズラによって引き離される。20年後、1900年の大晦日。オリエント急行に乗り込んだ美人詐欺師とテロリストとなったふたりの運命は交錯する。マッチを売り、ロバに乗ることを夢に見た少女たちが、電飾煌めく急行列車に乗り込むという時の流れを描いている。そして、詐欺師になったドラとテロリストになったリリが一人の男を通して近付いていく。最後は、エジソンがテレグラフの実験をした後、古き時代へのノスタルジーに触れる中、光に向かってカメラが進むシーンで映画は終わる。

しかし、なんだか煮え切らないのはそれぞれのエピソードの掘り下げが甘く、それらが有機的に繋がることが少ないからだろう。星やチンパンジーが話す寓話的エピソードやヴァイニンガーのエピソードなどよく分からないシーンも散見される。また、重要な双子姉妹のエピソードも宿命論的にまとめ上げてほしかったが、フワッとしていたのは残念だった。
夢と眠り、おっさんと若い娘、”古き善き神秘”へのノスタルジー、光と闇の演出、など後のエニェディワールドに繋がる部分も多かったが、まだまだ荒削りという感じ。

やはり陰影を撮るならモノクロの方が美しく撮れると思う。エニェディはその点いい選択をしたと思う。勿論、20世紀初頭の映画へのオマージュやより現実的な問題も含めての話だろうけど。特に、オリエント急行のガラス窓から外を眺めると鏡の部屋のシーンがお気に入り。

結果として、軍配は「シモン・マグス」や「心と体と」に上がることになるが、それでも十分に楽しませてもらった。こうなると「心と体と」をもう一度見たいから、早くBlue-rayが出てくれることを願う。

追記
ドロタ・セグダめっちゃ可愛いんだけど、やっぱり寡作なのはマーフィーの法則的な何かなの?

メモ
テーマ曲の題名を知りたい
Kazuma

Kazumaの感想・評価

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好きだという言葉以外で表現しようがない。
終盤のドロサの表情、鏡の使い方、いっそ完全にサイレントでやったらもっと凄い映画になってただろうな。
2017年、久々の新作で金熊賞を受賞したイルディコ・エンエディがカメラドールを受賞した作品で、可笑しな内容に映像の叙情性、そして映画愛に好感が持てるものになっていた

冒頭から電球の白が美しく、それ以降も電気をフィーチャーした場面の多い今作は、十九世紀から始まる新たな光についての映画という側面に、双子の孤児が歩む少し可笑しな人生を寓話的に描いた物語という側面があり、双子の対照的な独白に星やチンパンジーが語りかけてくる寓意性とか面白かったし光と影の使い方も上手くて感心したのだけど、光と双子の話が平行的に進行してあまり関連付けて見られなかったのは勿体無かった

ということで良い作品ではあるが傑作と呼べるほどではない程度の作品ではあって、しかしながら前述のようにこの作品には度々黎明期の映画の挿入があったり、上海から来た女に素晴らしき哉、人生!やバルダザールどこへ行くをオマージュしてると思しき箇所も散見され、そこかしこに映画愛が感じられるのだけど、そうしたリスペクトが詰まった作品というのはそれだけで評価が甘くなってしまうから困る