小津作品初見なのである。
日本の巨匠ということは知っていたものの、なんとなくほのぼのとしたホームドラマ調かと思ってたらまるで別物ですね。まさかこんな残酷だとは!
戦前から戦中、そして戦後それぞれを象徴する男たちが敗戦を経て生まれ変わった今に思う複雑な感情。
「もし日本が勝っていれば…」に続く言葉の虚しさが特に印象深い。
一方、家に入る女性たちは対照的に過去にとらわれず、今を大事に生きている。ある家庭では男を手玉に取る強かさを見せるけども、未婚の女性は恋愛感情より形式的な婚姻関係を優先させられる(周囲は悪意なくやっているのだけど)。
豊かな風味より苦味マシマシな「秋刀魚のはらわた」でした。