グレアムの手紙

ハムレットのグレアムの手紙のレビュー・感想・評価

ハムレット(1948年製作の映画)
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初めて見た。
四第悲劇とまで謳われるハムレットだけど、悲劇といっても、流血をともなう仇討ち愛憎劇でしっかり勧善懲悪されてくカタルシスってよりか、天命を前にした登場人物が迷いながらもそれを受け入れ、それぞれの魂が救済されていく、ないし受けるべくして悪業への報いや罪の裁きを受けていく、って感じの悟らせ系のカタルシスがあった。もっとドロドロしてるのかと勝手に思ってたけど、確かに非業の死ではあるが、見ててスーッと浄化されていく感じがあった。これが古典悲劇で言われるところのアポロ的衝動とディオニュソス的衝動の調和なのか、客観的な道徳性の高さなのか、ともかく克己心を喚起する崇高さを感じた。

ただ、いくつかの動機がハムレットの「狂気」(のふり?)を逃げ道にしてる感じが腑に落ちなかった。結局は原作読まないとわからないってことか。映画のサイズ感にまとめるために、細かい前後関係とか背景は排除されてるだろうし。まあでもこれ以上踏み込んで考え出したら完全に沼だ。