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白鯨のEyesworthのレビュー・感想・評価

白鯨(1956年製作の映画)
4.7
【執念の航海】

ジョン・ヒューストン監督×レイ・ブラッドベリ脚本×グレゴリー・ペック主演でハーマン・メルヴィルの名著を映画化した作品。

〈あらすじ〉
1841年、マサチューセッツ州ニューベドフォード。イシュメイル(リチャード・ベースハート)は安宿で知り合った銛打ちクイークェグと意気投合し、老朽の捕鯨船ピークォッド号に乗り込む。その船の船長エイハブ(グレゴリー・ペック)はかつて"白鯨"と呼ばれる巨大なクジラに片足を喰いちぎられており、その復讐に燃えている。この航海の目的もそれで、今度こそ"白鯨"の息の根を止めるつもりのエイハブの目には既に狂気に似たものがあった。"白鯨"を倒す執念に憑かれたエイハブの凶行は、次第に船員たちの命までも危険に晒していく...。

〈所感〉
個人的に今ちょうどメルヴィルの原作の小説を読んでおり、中巻の半分辺りまできていたのでとても楽しめた。DVDを買っていて良かった。1956年にしてこの特撮技術は凄いのではないだろうか。でもゴジラはもっと早いのか。そう考えるとこんなものか。私なんか特に古いものはとかく過大評価してしまう向きがあるのだが、これはやはり面白い。ブラッドベリが脚本をしているのだから当然だが、コンパクトにして船員それぞれの個性、見せ場を演出しており、よく2時間以内に収めたものだと感心する。これ以上の尺だと長すぎる。底知れぬ狂気の船長エイハブ役のグレゴリー・ペックはちょっとイメージ違う気もするが、彼の最善の演技でしっかり作品の質が保たれている。流石の名優だ。あと、原作で私が好きなクイークェグの登場シーンだが、彼の非文明的な野蛮な姿と性格がまさに思い描いていた通りで素晴らしいキャスティング。異教人故の豪胆さと繊細さが絶妙でとても良かった。原作読み切ってからまた見たい。胸の鼓動が高まる永遠の哲学的海洋アドベンチャーの古典だ。
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