白鯨の作品情報・感想・評価

「白鯨」に投稿された感想・評価

muscle

muscleの感想・評価

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巽孝之が、ブラッドベリ脚本である本作とゴジラ参照先の『原子怪獣現わる』を指してゴジラの象徴性にはメルヴィルの『白鯨』の遺伝子が息づいているうんぬんと書いているけど、この映画のラスト10分の東宝特撮感はすごい。もちろん白鯨を完全に擬似父子モノみたいに換骨堕胎してるジョンヒューストン映画のノリは強いけど、ラストの捕鯨場面において遠近感を強調したカットの連打は56年にしては目を見張るものがある。セントエルモの火のところも、とても良い。人物の再現度、小説なので再現度もクソもないが、キャラクター造形の作り込みがすごいだけに原作にあったクイークェグとイシュメールのBLみをほぼバッサリやってるのが残念。
『オルカ』からの流れで鑑賞。海の男たちが畏れる白鯨"モービー・ディック"と、打倒白鯨に怪気炎を吐くエイハブ船長の闘いを描く。胸熱くする海洋冒険ロマンではなく、全体的に沈鬱な空気。

1956年の映画のため技術的にどうしても粗が見えるが、逆に今日見るとその粗が不思議な効果を生む。白鯨を見つけ「悪魔め」と口にするエイハブ船長に青い影がかかっている。これは合成の青味が残ってしまっているのだけど、その前に登場した「セントエルモの火」、エイハブの狂気と呼応してどこか不思議な雰囲気を与える。

顔の傷痕や白髪の生え方がブラックジャックみたいな、グレゴリー・ペック=エイハブ船長の吹替は城達也。「エエ声」とか「イケボ」とかとおだてられてる人は一度この人の声を聞いて欲しい。
共同脚本がレイ·ブラットベリって初めて知りました。メルヴィルの原作通り最初の台詞が「マイネーム·イズ·イシュメール」で原作好きな私は一気に引き込まれました。古い作品ですがとても気に入ってます。
すべてを捨ててまで白鯨を追いかける、濃い男の物語を期待して鑑賞。
まあその通りなんだけど、暗い。
理解し難いなあ。
ファッションとかは見てて面白いけど、おすすめはできんなあ。

鯨、ほとんど出てこないのに、
鯨に怯える共感誘うのすごひ。。
だい

だいの感想・評価

3.0
冒険譚。のようでいて、実際にはめっちゃ宗教色の濃い作品よね。

神を冒瀆してでも復讐だけに凝り固まった者の末路。
的な。

スターバックとのやり取りに神という言葉を多用させてるのがこの作品の本質なんだろな。


給料いくら、ではなくて、
全利益の何分の一、
って雇い方をするのが当時の船乗りだったんだなぁ、
というのが新鮮な発見。

それなら、そりゃあ必死に仕事するよね!

だからこそ、
せっかく捕らえた鯨の群れを放置してまでモビーディックの海域に急行しようという船長に対して、船乗りたちが最終的にあんな簡単にシンパになるのが納得いかないんだよなぁ。
全然普通の捕鯨しようとしてなくて、
どうやって生活するつもり??

まぁ、そういうとこも含めて宗教的なのかね。

狂信的な宗教家のカリスマに対して、
現状も客観的に観れずにカルト化していく人々。

でもね、
彼らが打倒しようとした「神」は、
やっぱり神聖にして倒せるものではないんですよねぇ。

という、宗教物語。


雪よりも白い!
って言ってたからどんなのが出てくるかなと思ってたら、

普通のアザラシくらいの灰色感じゃん!!
やはり当時の技術ではあれを真っ白に偽装するのは無理か…
Yuzo

Yuzoの感想・評価

3.0
失敗作と聞いていたが充分面白かった。「で、出たー!」系映画の古典。映像が文芸調で風格があり、未レストアなのもよかった。船員達の丁寧な描写が良く、ハリー・アンドリュースも効いている。グレゴリー・ペックのブラックジャックみたいなメイクはご愛敬。ちなみに、ドラムソロが延々と続くシーンはない。
な

なの感想・評価

3.7
メルヴィルの原作から、鯨ウンチクを省いて再構成した、海の男の映画。
演技過剰な会話劇が大半で、時にウトウトしたけれど、カッコいいシーンも多くて僕は好き。

高いし甘ったるいから敬遠してたスターバックスに今度行ってみたいと思わせる位の良作!
いや〜〜良かったわ。
メルヴィルの白鯨はつくづく映像化が難しい作品と思っていたが本作は製作された年代独特のビンテージ感も相まってなかなか良い塩梅なんじゃないだろうか。
潮吹き亭とか白鯨との対峙はテンション上がったよ。
全体として不満がない訳では無いが、概ね満足、原作の冗長さ(それが良いんだが)を削ぎ落とすとこれで良いのかも。
白鯨との戦いもアナザーエピソードとしては面白く見応えもあり大変好きだが、本作も大変素晴らしかったのでいずれ友人らと二本立てを企画したい。
グレゴリーペックもまた違う印象で良かった。
なにげにオーソンウェルズも出てた。
ジョン・ヒューストン(監督・脚本)、レイ・ブラッドベリ(脚本)、そしてグレゴリー・ペック主演と錚々たるメンバー。

グレゴリー・ペックはいつもの理知的な紳士役ではなく、なんと顔に傷、隻脚のエイハブ船長役だ。絶大なカリスマ性を持ち、自分の足を食いちぎったモビィ・ディック(白鯨)狩りに執念を燃やす復讐の鬼。ラスト10分のモビィ・ディックとの激戦ではすさまじい狂気を見せつけてくれる。やはりグレゴリー・ペックはなにをやってもカッコイイ(吹替え版は定番声優、城達也の声がまた素晴らしい!)。映像も海上ロケ、スタジオ撮影、特撮を巧みに編集し、ちょっと見応えあり。

と書くと、面白そうと思うかもしれないが、実は半分以上はダラダラと漁をする海の男たちを写すばかりで退屈だ。本作は僕にとっては、世間の評価ほど面白くもなく、グレゴリー・ペックの熱演だけが心に残る古典映画であった。残念。
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