昨年、長野に居た時、オンライン池谷薫監督のドキュメンタリー塾で「先祖になる」を視聴。監督のお話も聴くことができ、
とても勉強になった。
池谷監督のこのドキュメンタリーもその時観たかったのですが、今回、レンタルして視聴。
中国山東省に敗戦後も残留して戦い続けた部隊がいた。
この映画の主役奥村和一さんは、
その残留は、上官の命令で、隊としての行動だったことを帰国後、ずっと訴え続けている。
その奥村さんを追った記録である。
裁判所は、奥村さんらの主張を受け入れず
個人的な残留と、訴えを退けるのだ。
このような事実を全く知りませんでした。
決定的な証拠が見つかっても、奥村さんの運動は進みません。
この作品を観た方の殆どは、あの映画、
あの人を想起するでしょう。
「ゆきゆきて神軍」の奥崎謙三さん、
同じ奥でも、奥村さんは、奥崎さんのような狂乱的、衝動的な行動はとらない。
司法の中で、真実を明らかにしようと正攻法で闘っている。
だからこそ、余計に虚しく、悲しい。
映画公開から数年、奥村さんはこの世を去っているが、
この映画をどう思っているか、映画の後の奥村さんの闘いはどうだったのかを
ぜひ、監督の池谷さんにお聞きしたい。
あんな悲惨な戦争の終結の後にも、まだ
個人より軍隊や体面が重んじられるのか!
この国は!
この作品を調べてるために、
ネットで「残留軍人映画」と検索したら
本作以外に、「ONODA」が出てきた。
残留軍人として、横井庄一さんとともに、最も有名な人、小野田寛郎さん。
実は本作にも、彼が出てくる。
全く意外な、私たちが知っている姿とは
かけ離れた「軍人」として、
日本軍に批判の矛を向ける奥村さんでさえ、ある場面で、「軍人」もしての生々しい姿を見せる。
加害側の奥村さんの証言、
中国の老婆の被害者としての証言
これが戦争だ、、戦争なんだ、、
そこには人間的な事柄なんて一欠片もない
ということをこのドキュメンタリーから
また、改めて感じ取ることができました。