Hiromasa

黄色いリボンのHiromasaのレビュー・感想・評価

黄色いリボン(1949年製作の映画)
5.0
『幌馬車』で笛の音に馬が驚いているのを見て感動したが、この映画も、作りごとではありながら確実にかつてこの現実において起こった事実でもある、という映画の性質それ自体の根本的な感動で満ちている。冒頭、矢を調べながら「ここに犬の絵が描いてある」という発言があったあと、男たちの足元を一匹の犬が通り過ぎる。この瞬間のなんとも言えない魅力。この映画は犬たち(小さい)がいなくては成立しない映画だと思う。そして、その意味では、雷が光るところは涙が出るほど美しい。
ゆったりとしたリズムの中で馬の全力疾走はとんでもなく速い。
感動的に部隊を去ったジョン・ウェインがすぐに戻ってきてしまうというのはどうなのか、と思ったが、やはり、ここは辞令を受けたウェインの満面の笑みをただ見ればいいのであって、高みに立った批評はヤボ(「画面を見ていない」)というものだろう。マッチョイズムもアメリカ帝国主義も、ここではひとつのすばらしいユーモアとして提出されているわけで、とりあえずそれを素直に受け止めればいい。
そして、人々が帰還したウェインを迎える場面で女たちの後ろ姿が映るが、みな黄色いリボンをつけている。
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