しばいぬたろう

白い肌の異常な夜のしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

白い肌の異常な夜(1971年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

『白い肌の異常な夜』('71)
The Bequiled / アメリカ合衆国 / 英語

南北戦争末期。
深い森の中に、女性だけが生活する学院があり、そこに一人の北軍の伍長が運び込まれる。
学院は南軍側ではあるが、伍長が負傷していたこともあり、仕方なく南軍には内緒で彼の治療をする。
徐々に回復する伍長だったが、魅力的な女性たちに囲まれ、翻弄されていく。
学院は学長と、年上の生徒が先生となって運営していたが、学長の兄以外に男がいたことはなく、その兄も既に他界していた。
普段男性と関わることのない学院の少女たちも、大人の男の魅力の虜になっていく。
やがて、嫉妬と狂気にかられた女性たちによって、伍長に恐怖が襲い掛かる。


女の嫉妬が非常に怖い作品でした。

学院には生徒含め女性が9名いるのだが、主要メンバーは5名だであり、残りの4名はガヤ扱い。
しかし、その4名も怖いのだ。
主要メンバーは、「校長」「先生であり、いずれ学院を受け継ぐ生徒の一人」「主人公を学院に連れてきた少女」「色仕掛けで主人公に迫る思春期盛りの少女」「黒人女性」。
「校長の兄」という存在も、常々どこかに影があり、重要な存在。

本作はその物語展開が面白く、カメラワークも良かったのだが、何よりキャストの演技が素晴らしかった。
幼いエミーでさえ圧巻の演技を披露するのだが、年上の女性たちも良かったし、クリント・イーストウッドも最高だ。

2017年に『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のタイトルでリメイクされたが、その作品で伍長役は、コリン・ファースが演じているらしい。
鑑賞したことがないためわからないが、クリント・イーストウッドよりも迫力が物足りない印象を受けるし、脇を固める女優陣たちや、監督がソフィア・コッポラであることを考慮すると、伍長の描き方が原作と変わっている可能性があるので、鑑賞してから確認したいと思う。

階段から転がり落ちるシーンから怖いのだが、最後のシーンは本当に恐怖だ。
女性陣たちによって担ぎ込まれた主人公は、同様に担ぎ出されて終わる。
その時の彼女たちの会話が何でもない普通の会話で、全くシーンと内容とそぐわない。
そこがまた、女性の嫉妬や狂気を超えたサイコ的恐怖を感じる。

学長の兄の話があまり掘り下げられないのだが、それが想像力を掻き立てられて、上手い作りなのだ。
彼は本当に亡くなっただけなのか。
彼女たちの沈黙ぶりを見るに、最初の犠牲者はお兄さんだったのではないかと考えると、更に恐怖だ。
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