kaorui

麦秋のkaoruiのレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
4.5
原節子の瑞々しいこと。
パーっと向日葵のような鮮やかさで画面いっぱいに微笑む。
湘南のかすむ海を背景にしたカットバックが美しすぎる。
戦争の暗い影が次兄の消息を通して暗示され、二本柳との共通の想い出を照射する。流されているようでありながらしなやかに選びとる原に対して、なんとも煮え切らない様が逆に二本柳の人品の良さが浮き彫りになるようでなんとも味わい深い。
ゆったりと移動するカメラが捉える麦穂の群が時流さえ絡め取ることのできない生命力を絵として表す。
小津随一の傑作です。
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