櫻イミト

原子人間の櫻イミトのレビュー・感想・評価

原子人間(1955年製作の映画)
3.0
ハマー・フィルムが本作の大ヒットによりホラー映画を量産するようになった画期のSFホラー。クォータマス博士シリーズ全3本の1本目。原題は「The Quatermass Xperiment~The Creeping Unknown(クォータマス博士~忍び寄る未知~)」。

バーク州にロケットが墜落した。それはクオーターマス博士が三人の飛行士を乗せて送り出した宇宙ロケットだった。生存していたヴィクターは意思疎通が出来ない状態、他の2人は宇宙服だけを残し行方不明だった。。。

物語の大半が一体何が起こったのかの心配と調査に費やされ、現在から見ると定番の設定なので少々楽しみにくかった。「遊星よりの物体X」(1951)のような派手なモンスターで引っ張るわけではなく、ウルトラマンのジャミラのような批評性悲劇性は薄い。ただ、クライマックスの舞台をウェストミンスター寺院にし、異星と神との対比構図を作っているのは興味深く、同様な演出は後継SF作で意外に思い浮かばない。

導入部のテンポの良い展開、原寸大で作られた墜落ロケット、機内に設置されていたVTRレコーダーによる事件検証シーンは魅力的で、当時としては画期的なSF表現は多くの観客を喜ばせたことだろう。
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