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男はつらいよ 寅次郎の休日のmatchypotterのレビュー・感想・評価

4.0
久しぶりの寅さん。元気にしてたか、寅さん。
冒頭の夢物語も久しぶりな気がする。

そんな『男はつらいよ』シリーズ、第43作目。

“寅次郎の休日”。
今回もまたさくらちゃんの息子、満男の回。
大学生になり、いよいよ“独り立ち”を所望し始める。

なんか満男の気持ちも分からんでもない。
実家暮らしで遠くの大学まで通う。遠くと言っても同じ都内。でも、電車で2時間。

実家で暮らしてるとその2時間がどうにも不自由に感じる。
ご飯や家事その他、母親がやってくれて不自由なんか何もない。

だけども、何か、何でか、外に出てみたくなる。
なかなか色んなことがよくわかってないけど、親の心配や気配り、苦労が、時に煩わしく思えてくる。

きっと、自分が何もできない人間で、甘えて生きているんだと突きつけられてるような。
男なら何かしないとダメになっちゃうような気持ち、、、何かわかるなぁ〜。

この過渡期のさくらちゃんと満男の会話。何か自分のことを思い出してしまうノスタルジックさもある。

そして、満男の相手、泉が諸事情で満男の家にやってくる。
彼女がキッカケで、さくらちゃん、博、満男のクサクサしたやり取りがパッと明るくなる。

夜に博が2階で仲良くしている若き男女にソワソワしてさくらちゃんと話してる姿、、、なんかその気持ちもわかるなぁ〜。

やっぱりこの彼らの日常。
共感というか、色んなことを代弁してくれているというか、山田洋次監督がしっかり平成の生活スタイルや社会の縮図を取り込んでいる。

、、、そんな中に、“日常の中の非日常”、そう、“風天の寅さん”。
やっぱり彼がいるからこそ日常が何かがわかり、日常のままではなかなか言えない、捌けない微妙な問題を非日常サイドから照らし、騒ぐ。

あまり触れてほしくない気もするパーソナルなことでもなぜだか話せちゃう寅さん。
そして、話すだけではなく、なぜだか皆が納得するような最もらしいことを話してくれる。

この頃の寅さんはトラブルメイカーや自身の張れた惚れたから少し遠ざかり、むしろ、満男や旅先の悩みをトラブルシュートしちゃうぐらいの存在。
寅さん、なんだか、背中が大きく見えてきたよ。

泉は別の女を作って出て行ってしまった父に会いに東京に来たが、父は退職しててすれ違い。
、、、そして、大分の日田へ。

泉が名古屋に帰りはかと思いきや、大分へ行く決断をし、満男は発車寸前の新幹線に飛び乗っちゃう、ゴクミと一緒に一路大分へ、、、。

団子屋は大騒ぎだけど、そこで寅さんの“読み”が絶好調すぎて最高。

そこにやってきた泉の母親と一幕あって、いよいよ寅さんと2人で、大分へ若き男女を追いかける展開。

夏木マリ、綺麗でカッコ良すぎる。泉の父親、寺尾聰、渋い。
満男とゴクミ、寅さんとママ。若き男女と紳士淑女の2ペアの旅道中。

風情あり、恋愛あり、人情あり、ドラマあり。
大分の祭りの力強さの中で、出て行ってしまった父の思いや、娘の葛藤の気まずさ。

そこで、またしても起きる“奇跡のバッタリ”。
寅さん、本当に“持ってる”。
泉がどうして良いのか困っていて、満男も途方に暮れつつある時に満男が頼りにする寅さんが現れる。

満男に説教する寅さん、満男に説教される寅さん。
若い男女にも恋愛があり、大人の事情と恋愛がある。

「青年、、、、行け!」

寅さん、人の背中を押すことだけは天才的。満男にとっては頼り甲斐のある、おじさん。

今回は寅さんも、満男も、“男はつらいよ”、な。
前回も然り、今回も、旅を経て大きくなっていく満男と何かしているようでしていない寅さんとのやり取り、素敵。

満男、本当に人間ってわかりにくい生き物だな。
そして、満男の友達、ホント、良い奴ら。

“50円”の伏線回収もするって凄いな、今回は。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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