似太郎

銀河鉄道の夜の似太郎のレビュー・感想・評価

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)
5.0
【臨死体験🚂】

子供の頃、学校で見せられたアニメ映画。今でも忘れられない余韻の残る、宮沢賢治原作のファンタジー作品。

監督は杉井ギサブロー、キャラデザと原案はますむら・ひろし、脚本は別役実、音楽は細野晴臣。

主人公を含めて登場キャラが全員「猫」であるところがイイ。可愛いというよりはどこか地味で暗い感じだが。

ジョバンニとカムパネルラの友情が引き裂かれるラストシーンは残酷。しかも全てジョバンニの妄想だったという「死に取り憑かれた少年」の幻想譚である。

宮沢賢治や中原中也の前衛的な詩や物語は、大正デモクラシーならではの味わい。そういった要素がこのようなアニメーションになるとひたすら美しくストーリー性があるようでない、アートっぽい作風となるのである。

さすがはアングラ劇作家の別役実。宮沢賢治の独特な世界観が見事に昇華されており、大満足のアニメ映画。また劇中で使用された楽曲『ケンタウルスの星祭り』が、細野晴臣らしくニーノ・ロータへの愛情をヒシヒシと感じる出来。
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