田山信行

アンドロメディアの田山信行のレビュー・感想・評価

アンドロメディア(1998年製作の映画)
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人間の記憶をコピーしたデジタル上の擬似人格【アンドロメディア】いわゆる人工知能というSFテーマに果敢に挑戦した作品。とはいってもSPEED主演の純然たるアイドル映画だからそんなテーマをちゃんと昇華する訳もなく青春ジュヴナイルに留まるが。

三池崇史メジャー進出間もなくの映画ということでなんのことはない雇われ仕事だと思うけども、アイドル映画が急にバイオレンス映画へ変調するような無茶なアクションスタントとか時折挟み込まれるナゾ演出とか隠し切れない三池テイストがちょこちょこと。

旬のアイドル主演という時流に乗った安易な企画で、それ以上には決してなれないけどCGなどの視覚効果はちゃんと作ってるしさすがに三池崇史なのでセンスを感じるカットも多数あってモー娘。の『ピンチランナー』よりはちゃんと観れるぞ!くらいの映画。

SPEED主演というにはメインヒロインの島袋寛子だけがフィーチャーされてて他のメンバーの印象はすこぶる薄い。バランスとしては変。かといって彼女が芝居が上手いのかというとそんなことはないし全員壊滅的だけどもアイドル映画だからそこに文句を言うのは野暮だ。

SPEED解散後のメンバーの今に至るまでの動向の方がよほど映画よりも劇的というかしっちゃかめっちゃかなので妙にノスタルジーにも浸りづらいか。輝かしき時がフィルムに焼き付けられてるだけでもマシかもしかもしれないけど。三池崇史のフィルモグラフィーとして参照する意義はそんなにない。
田山信行

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