田山信行

劇場版 おいしい給食 Road to イカメシの田山信行のレビュー・感想・評価

-
面白さ衰え知らずの驚異的シリーズの劇場版、三たび。『おいしい給食』をただ食すというシンプルな基本は変わらぬままシリーズを重ねる毎に面白さが増していく。

甘利田の目指す給食道が結果的に教師としての在り方にまで繋がっていく脚本のソツのなさ、毎作エスカレートしていく市原隼人の天井知らずのパフォーマンス、一切揺るがない。

甘利田の奇行的な給食タイムは他にどう見えているのだろう?そもそも見られているのか?というのがseason1で気になった部分だったが、そこへシリーズ毎に異なる視点で切り込んでいくのが個人的に好きなところ。

TVシリーズから劇場版、毎度その期待のハードルにしっかりと応え最高傑作を更新していく。シリーズの積み重ねの分だけ味が出る。TVドラマそして劇場版シリーズものかくあるべし。

最終的に甘利田が辿り着いた境地からすれば、今回こそ本当にラスト……?って、前作でもそう思ったんだが。

市原隼人と綾部真弥監督にもう絶対的な信頼があり過ぎて、また次も……と期待せずにはいられない。この組み合わせで新しいものも見てみたい気もあるが。

給食対決とは別にヒロインとの関係性も気になるところなんだが……甘利田が幸せな家庭を手に入れてしまえばこのドラマのコンセプト総崩れになるので、そこは『男はつらいよ』やら『刑事物語』的なことか。延々と市原隼人のライフワーク的シリーズになっても良いな。

余談だが、自分がジャージャー麺なるものを初めて知ったのは給食で、である。出た当時の小学校のクラスでは満場一致で“マズい!”という評価が下った。

ジャージャーという変な名前の響きと、肉味噌なるものを麺にかけて食べるという未知のものだった故か。麺ものといえば汁の麺ものは人気あった様に思うが。汁物ではなくソースをかけて食べるとなればミートソースもあったはずだけど。

実際、他のクラスやら学校でも不評だったのかそれ一度きりしか出ることはなかった。自分は美味しいと思っていたのだが……何年か経ち、大人になってから親友と同じ気持ちを確かめ合った。確かあれは美味かったはずなのに何故あの時みんな非難轟々だったのだろうと?

みんなで食べるから、おいしい給食。その逆もまた然り。
田山信行

田山信行