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パラサイトの都部のレビュー・感想・評価

パラサイト(1998年製作の映画)
3.6
寄生スリラー×青春ドラマのジャンルミックス映画として軽快な一作で、それぞれのジャンルの魅力を前面に出しながら、寄せ集めの学生達が世界滅亡に発展しかねる寄生生物による陰謀の阻止に挑む能動的なパニックムービーの仕草は非常に優良なB級映画として完成されている。

自分の安全領域が侵される──これこそが寄生スリラーの肝であるが、気付いた時には高校が乗っ取られているという恐怖の姿形は現実の地続きと感じさせる充分なシチュエーションで、高校という小社会から学生が簡単には逃れられないように閉塞感と空間としての開放感、その同居を感じさせる舞台設定が中々考えられている。寄生生物の特徴としてある"活動に水分を欲する"という行動が異常の侵食の表現として分かりやすく愉快で、対話不可能な相容れない存在としてビジュアルの強さも確保されている為にジャンルに対する愛を捧げた作品としても好感が持てる。

主要人物である六人の集結と寄生生物の闘争は良くも悪くも王道の筋書きで、次々に餌食になっていく/また六人の中に既に寄生生物が混じっているという常に付き纏う緊張感の作用が物語に加速として都合が良い。それと比較すると前提作りの前半部分はやや間延びしているように感じられたが、終盤の怒涛の展開は規模感の割に見応えがあって良かったように思うし、基本的な決まり手がカフェインというのも好きだ。

『ボディスナッチャー/恐怖の街』を初めとしたジャンル物のあるあるが通る世界観は説明の短縮表現として便利で良いよな……、会話の糸口としてそれを名前に出して、生物特有の特徴や弱点を探る下りとかもジャンル映画の醍醐味なのでこういう描写があると嬉しいですね。
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