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國民の創生のKAZUのレビュー・感想・評価

國民の創生(1915年製作の映画)
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映画史における最も危険な映画であり、最悪な古典作品。

極右勢力や白人史上主義の極端なイデオロギーがアメリカの政治の中心になりつつある昨今。「ハイル・トランプ」と完璧アウトなナチス的な表現、公然と人種差別を公言する、オルトライト運動。正に、今作品の様なアメリカの人種問題が現代に甦りつつあると興味が湧き鑑賞。

南北戦争で南北に別れたアメリカ。同じ国民ながら殺しあう悲惨な歴史を紐解きながら、中盤からは南北の争いが人種間の争いに変わっていく様子が、残酷なまでに表されています。

KKKと呼ばれる白装束に身を包んだ白人史上主義による、黒人迫害を南部の正義として展開していくのですが、黒人役は白人が黒く肌を塗って出演しています。現代なら完璧アウトですが、あまりにも差別過ぎるので当時ですら(100年前)上映禁止が相次いだらしい。キング牧師以前の世で..。

で、今作品が何故ここまで古典的名作ながら(スコセッシ監督の地獄の黙示録も今作品の影響下)悪名高き作品なのか。それは、黒人を悪と見なした白人史上主義を復活させた事だと言われています。
今作品が無ければKKKは再び世に出る事はなかったと言われています。

映画の祖父と呼ばれる、名匠DWグリフィスは今作品以後は「國民の創生」の贖罪だそう...。(名作が続くのですが)
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