國民の創生の作品情報・感想・評価・動画配信

「國民の創生」に投稿された感想・評価

野蛮人種をぶちのめす


最高の技術と最低の思想
世界最初の長編映画にして、現在の映画作法を画期的に確立した始祖映画。映画の父、D・W・グリフィスの最も野心的で、技術美に満ちた作品である。2021年にも通ずる映画技法の目白押しはもはや教科書的である。洗練のない原石のような表現技法は、映画の源流そのものを構えている。

しかしながら、内在する偏見と差別はK・K・Kの復活とともに今日の私たちも知るところである。映画の並外れた進化に追いつけず、失墜の一途を辿った彼の経歴からも、保守的な姿勢を感じずにはいられない。この攻撃的な作品の以後、彼の監督人生はその贖罪へ注がれた。映画の画期的進化を促した偉人の背景は、晩年まで”時代の流れ”に苦心した悲しい顛末なのである。時代を作り上げ、時代に追われる数奇な人生だ。

彼の芸術と、技に、最大の敬意をもって締めくくりとしよう。
D・W・グリフィスの長編作品。

クロスカットやクローズアップが効果的に使われ、是により、時間の流れと心理描写の表現が圧倒的に広がった気がします。

ただ、内容が人種差別が色濃く関わっているので、手放しで素晴らしい映画だと言い難いのが残念です。
Kir

Kirの感想・評価

2.0

このレビューはネタバレを含みます

南北戦争に翻弄される女の話🌽

定番クラッシックの使い方、起承転結もしっかり
しており、南北戦争、リンカーンの暗殺、KKKの成り立ちなど、アメリカ人の創生を綺麗に見せてくれる。

最近になって、アメリカもやっとポリコレが表面上は蔓延っているのだが、少なくともこの歴史感で育ってきたジジイどもが政権を握っている限り、根底は結局この作品の通りだと思うし、私が生きている間はその体質も変わらないと思う。KKKが無くならないのも、BLMという概念が生まれたのもそういうこと。

また、戦争に負けた日本人は、今でこそまともな人種とされるが、結局日本人も同様。

人間は生存競争がある限り、基本的には他人を侵略してなんぼの生き物。

人間誰しも恥部があると思うが、アメリカのそれを映画史初期に見せた作品。

今日のアメリカの國民性がなんとなく理解できる映画です。
らっこ

らっこの感想・評価

2.0
大学のゼミの研究のために鑑賞。

黒人を悪とし、KKKを正義とする。
上映してしばらくしてからもKKK系団体から支持を得ていたことは、『ブラック・クランズマン』を観ても分かる。

現代に生きる日本人の私からすれば、
「何なんだこの差別映画は。」となった。
しかし、当時の米国白人は違い、NYでは大ヒットだったそうだ。
また、20年代半ばには、300〜500万人ものKKK会員がいたらしい。

白人が黒人を奴隷として扱ったことは許される行為ではないが、自国で移民の存在感が増し、白人が差別を受けるのもどうなのかと思う。
結局、差別が差別を生むのだから、どちらも歩み寄ることが大切。

しかし、そんな容易な問題ではないため、この作品が上映されて1世紀経った今も未解決のままだ。
考えれば考えるほど難しい。
リリアン・ギッシュ可愛いすぎる。
訳分からんくらい可愛い。
ほんとに天使みたい。

「映画史」の授業課題。

D.W.グリフィスの「国民の創生」「イントレランス」「散りゆく花」を観てレポート、という凄まじい課題が出ました。

3本観て8時間ほど飛びました笑

画質良い。当時の映像。
普通に面白い。よくこれ撮ろうと思ったな。めちゃくちゃお金かかったろうに。

差別は良くない。
今は世界中で多様性とか訴えるけど、逆にこれだけ時代が変わってもまだその段階なんですね。
atsushi

atsushiの感想・評価

3.6
2012/05/23 1回目
【2021年68本目】
映画の父、グリフィス。
それまで30分程度が一般的だった映画を3時間の長編とし、クローズアップやパン・スライド、カットバック等の映画的技法を巧みに組み込み、それまで移民や労働者階級の娯楽だった映画を演劇やオペラに並ぶ芸術作品へと昇華させることを試みた、現代まで続く「映画」の基礎を作った一方で、南部の軍人として南北戦争を経験した父の影響により偏った思想が色濃く反映され、白人至上主義団体KKKの復活の契機、ひいてはBLMまで続く黒人差別の一端を担ってしまったのもまた、事実である。

「國民の創生」=彼の功罪、それは100年経った今でも、根強く我々を支配している。
BLUR

BLURの感想・評価

-
 100年以上前の長尺映画はお勉強にしかならないと思っていたが、鑑賞体験としては思いの外充実したものになった。

 遠景で人がモゾモゾ動いているのが印象的で、リアリティを志向しているのがわかる。空間の広がりを感じられて良い。

 説明的なタイトルカードには、出典までもが明記されており(当然だが今の映画とも20年代のサイレント映画とも異なる)"物語る映画"黎明期の趣を感じた。
tsumumiki

tsumumikiの感想・評価

4.4
100年以上前に作られたとは思えないクォリティの高い作品。南北戦争の悲劇、人種問題の根深さ、怖さがリアルに伝わってくる。無声映画だが2時間半があっという間に過ぎてしまった。表情だけで多くの複雑な内なる想いを投げかけてくる。若かりし頃のリリアン・ギッシュが可憐で美しい。DVD視聴だったが淀川長治の解説が含まれていたのも一興だった。
okamura

okamuraの感想・評価

-
50万ドルの膨大な予算
当時は1巻1000フィートの映画の長さ(15〜20分)が普通だったが、3時間におよぶ超大作
1860年代から70年代のアメリカが舞台

トーマス・ディクスンによる原作諸説「クランズマン」を映画化

追跡劇
ポーターのたった7年後の作品にも関わらずウエストショット、バストショット、引きのロングショットなどカット割りが秀逸
女性、黒人兵士、白人男性と短いカットで繋ぐ


アクションカット

カットバック(追われる女性と追う黒人兵士)
クロスカッティング(妹を思い出す別の場所にいる兄)
学校の課題で鑑賞

白黒のサイレント映画でありながら、クラスカッティング等の技法を上手く使い、シーンの緊迫感を演出していて、今見ても2時間半の長尺でありながら、全然飽きのこない作品だ。
特に個人的にグッと来たのは、第一部の南北に引き裂かれた友人同士が戦場で再開するも、互いに戦死してしまう。というシーン。
男2人が寄り添って倒れるその姿には、友情というより、ブロマンス、もっというと同性愛的な艶かしさを感じ、初期の作品でありながら、現代から見てもとても先鋭的に感じた。

しかし、問題なのは後半部分の内容である。
「参政権を得た『野蛮な黒人』によってアメリカの政治は乱され、白人が迫害されるようになり、そこに『正義のKKK』が現れる。」という現代でこんな作品が作られたら批判どころじゃないぞ。というような余りにも黒人へのステレオタイプに満ち満ちた内容なのだ。
もちろん、製作された年代を考えたら、致し方ないことなのかも知れないし、演出面では革命とも言えるような事が成されている名作であることに間違いはない。
しかし、同時に手放しで褒められるような作品でもない所が、この「國民の創生」という作品の難しい所なのだ。

これを観た後に「ブラック・クランズマン」とか観ると、意識の差が歴然としていて、かなり面白いと思う。
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