こたつむり

世界女族物語のこたつむりのレビュー・感想・評価

世界女族物語(1962年製作の映画)
2.3
悪趣味極まりないモンド映画の入門編。

モンド映画。
それは、行き過ぎた好奇心を満たすかのような猟奇的なドキュメンタリー。其処にあるのは『世界マル秘映像』と同レベルの“高みから見下ろした視点”、そして“知る欲求”を盾に下世話で下劣な映像。けれども、それを完全に否定することが出来ないのも事実。

まあ、そんなわけで。
なかなか店舗に置いていない作品なのですが、残念なことに発見してしまいましたので、それを言い訳にして鑑賞しました。同系列の作品には『世界残酷物語』や『ヤコペッティの残酷大陸』などがありますが、この系統の作品に触れるのは最初でありますし、刺激が少なそうなもの…ということで本作をチョイスしました。

内容としては。
世界各国の“女性”を断片的に紹介した作品ですね。第一線で働く“男顔負け”の女性とか、夜の街で“女性を売る”場面とか、国家として“女性性が資源である”とまで言い切っているとか。正直なところ、偏見と差別に満ち溢れた視点で作られています(ただ唯一感心したのは、男性性の中にある女性にも焦点を当てたところ…ですかね)。

また、一部においては。
過剰な表現、誇大妄想的な説明、事実誤認を促すような映像…など、嘘と真実の境界線が曖昧な部分もあります。でも、50年以上の前の映像ですからね。現代の視点で嘘と真実を見極めるのは難しいかも。映像が本物でも、そこに載せるナレーションが嘘八百の可能性もありますからね。

だから、本作は。
ネット社会では “嘘を嘘と見極める技術”が重要と言われているように、真偽を見極めながら鑑賞するのが良いのでしょう。ちなみに日本の映像もありますが、この部分は見極めが簡単だと思います。また、昭和37年頃の浅草(だと思う)が映っていたり、『サザエさん』でネタになった(と思う)映像があったりと、史料価値が高い映像を観ることが出来ます。

ただ、それでも全体的には。
“世界各国の女性を見せる”というコンセプトの割には、深くまで“女性”を描いているわけではないので物足りなさを感じました。
しかし、それは僕にも偏見と差別意識があったからなのか、それとも助平根性丸出しで鑑賞したのに煩悩が満たされなかったからなのか…はたして…。

どちらにしろ、残るのは。
「えー、あの人ってこういうの観るの?」
という白い目と満たされぬ思い。
うー。なんだか、敗北した気分ですぜ。
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