もこもも

八月の鯨のもこもものレビュー・感想・評価

八月の鯨(1987年製作の映画)
4.1
ある老姉妹の穏やかで素朴な夏の日常を描いた作品

陽の光を沢山浴びながら
昼寝している時に見る夢のよう
静かで穏やかで美しくて尊い
2人の2日間を描いているだけやのに
その何気ない日常の中で感じる素朴な
姉妹愛、周囲の関係、人間性の変化が
胸いっぱいに染み渡る素敵な作品やった
サラ役のリリアン・ギッシュの
若い頃の作品をめっちゃ観たくなる
この作品の家がめっちゃ素敵

偏屈で悲観的で頑固な姉・リビー
献身的で優しい妹・サラ
全然人間性も違うし、
会話も噛み合ってなかったり、
皮肉が混じったりしていて
柔らかいおしどり姉妹ではないけど、
それでも一緒に生活をして、
肩を抱き合いながら散歩していて、
人間性の合う合わないの次元じゃない
家族のリアルな繋がりを感じた
少女のような心を持つサラが素敵
夫が亡くなってもお洒落をして
バラを用意してお酒を飲みながら
結婚記念日を祝うサラにジーンとする

「人生は長すぎるわ」
『長すぎはしない』
「死ぬべき時を逃しても?」
『死ぬまでずっと人生です
 海の月明かりがまるで銀貨のようだ
 永遠に減らない宝です』

確かにリビーは頑固ババアやし、
いじわるやし一緒にいるのは大変そう
ただ「結婚記念日おめでとう」の
セリフからも感じるけどずっとサラを
大切に想ってることは伝わってきた
最後、朝ごはんを食べるって言って
大きな窓をつけることになって
2人で岬に行くシーンが大好き

ラストで鯨が出てくるのではなく
鯨なんかいないって言ってたリビーが
鯨はいるかもって言って終わるのが
この作品らしいリアルさがあって胸に沁みた
老いる事は悲しいだけではなく
美しくて尊いものって感じさせられる
この作品はまた観たいな

「白は真理で、赤は情熱
 人生は真理と情熱があれば生きていける」
もこもも

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