サーフ

わらの犬のサーフのレビュー・感想・評価

わらの犬(1971年製作の映画)
4.5
サム・ペキンパー監督作品。主演はダスティン・ホフマン。
サブスクで配信されてなくて宅配レンタルでも在庫少なくてなかなか見れなかった作品。ようやく見れた。

主人公のデイヴィッドは妻と共にアメリカからイギリスの田舎町に引っ越してきた。街では地元の男たちがデイヴィッドを余所者としてバカにし、妻に対しても好奇の目を向けるといったように嫌がらせを受ける日々。
嫌がらせを受ける中で夫婦の中も険悪になっていく。そんな状況の中である事件が主人公に舞い込み彼の中で何かがプツンとキレてしまう…。と言うが大まかなストーリー。

この映画の空気を支配するのが悪意と不穏。序盤から主人公に対して地元民が抱く嘲笑が既に悪意に満ちているし、そこから先「何か良くない事が起きる一歩手前」みたいな状況がずーっと続く。
地元民の嫌がらせ、夫婦仲の悪化、色んな「良くない事」へと駒が揃っていき、主人公は「いつ暴発してもおかしくない銃」状態という大変不穏な空気になっていく。

それが前半部分で後半はその主人公と言う名の「暴発寸前の銃」の行き着く先が描かれる。構図としては主人公vs嫌がらせしてきた地元民。いままでされてきた事で溜まった鬱憤を全て晴らすかの如く怒涛の展開。
息つく暇の無いバイオレンス描写の数々。捨て鉢で挑む主人公の「これから先どうなろうと俺の知ったことか」精神は狂気に満ちてて敵と戦っていく爽快感よりも虚無感の方を強く感じた。
サーフ

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