Shiro

近松物語のShiroのレビュー・感想・評価

近松物語(1954年製作の映画)
4.3
「演技のフレッシュさ」

「寝ても覚めても」の監督が撮影前に主演女優にこの映画を観るように指示したそうで、気になって観てみました。関連はよくわかりませんでしたが、面白かったです。
琵琶湖で心中しようとするシーン、山道で抱き合うシーンがとてもフレッシュで、リハーサルを何回かした上でのあの新鮮さなら、すごいことだなと思いました。長回しによって場面が切られていないせいもあるかもしれませんが。ちょっとした嘘による誤解から、運命があっという間に狂い、それが2人の「不義密通」になってしまい、周りもどんどん変えていってしまう。運命の歯車に翻弄される人々の物語でもあると思いました。妻の不義密通には死罪を以って報いるという当時の社会制度、男と女で求められる貞操義務がまったく異なるという理不尽を感じさせる映画であり、当時としては先駆的だったのかもしれません。
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