イルーナ

アルマゲドンのイルーナのレビュー・感想・評価

アルマゲドン(1998年製作の映画)
4.0
【漢の義務教育】

同時期に『ディープ・インパクト』という、似たような内容の隕石衝突映画があったことで話題になっていた映画。
しかし現在では豪華キャストにエアロスミスのテーマ曲、破壊王マイケル・ベイが監督ということで華のあるこちらの方がの知名度が上でしょう。

ある日テキサス州サイズの小惑星が地球に接近し、その影響でNYに大規模な流星雨が降り注ぐ。
もし小惑星が衝突したら地球滅亡確定。これを回避するには小惑星に穴を開けて、その中で核爆弾を起爆するしかない。
その重大な任務に選ばれたのは、石油掘削のプロたちだった……

しかし、
衝突まであと18日!って、たったそんだけで一体何ができるの?!
宇宙飛行士に穴掘り教えるよりは石油掘削のプロに任せた方が早いので、彼らを宇宙に送ります!いや宇宙に行く訓練する時間絶対足りないでしょ?!宇宙飛行士に掘削技術を教えた方がマシなのでは?
どう見ても切羽詰まった状況のはずなのに、何だこのノンキさは?
世界中が固唾を飲んで見守っているけど、時差はどうなった?
出発前に掘削機の無駄が多すぎるということでパーツをバラしていたけど、何でガトリングガンがついているんですかね?何を想定していたの……?
というかブシェミ、宇宙に出てからいい所なく終わったんですが……

という具合に、ツッコミ所盛りだくさん。
擁護しておくと、元々の脚本によるとガトリングガンは小惑星に生息していたモンスターと戦うためのもので、ブシェミも自己犠牲を実行する予定だったらしい。

ですが、初っ端から景気よくNY爆破!ということで掴みはバッチリだし、宇宙に旅立つ前の大統領演説はテンション爆上がり!
(ついでにしれっとカメオ出演する松田聖子に日本人ならニヤリでしょう)
ヒーローたちが横並びで進んでいく構図は何度見てもいいものです。カッコいい。
そこでの「ママ!セールスのおじさんがテレビに出てるよ!」からの「セールスのおじさんじゃないわ。あなたのパパよ……」もいいですね。
旦那は家族から見たらダメ人間で、最後になるかもしれない挨拶に来た時も奥さんはサラッと流していたけど……
そりゃ地球を救う任務に就いたと知ったらたまげるって。
そして頼れるリーダー、ブルース・ウィリス。「信頼できる部下なくして今の自分はない」と語る、理想の上司。
娘へのお別れのメッセージも、脚が悪くて宇宙に行けなかったNASA司令官に自身のワッペンを託す件も、まさに漢の中の漢。
本当に何もかもベタだけど、昨今では娯楽性よりメッセージ性重視の作品が増えたことを考えると、かえって新鮮。
『トップガン マーヴェリック』といい、娯楽性特化の作品もいいものです。
それだけに、90年代とは時代が変わったよなぁ……とひしひしと感じます。
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