よどるふ

クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!のよどるふのレビュー・感想・評価

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ジャック・フィニィ『盗まれた街』の系譜に連なる「街の住人が少しずつ偽物と入れ替わっている」というSFホラー的なシチュエーションを採用した作品。怖い絵はきっちり怖く作ってあるあたり本気具合が窺える。

ムトウユージ監督による前作『伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃』を、「“日常”に断片的な“非日常”が入り込んできた」作品と形容するなら、本作は「一見“日常”に見える世界が“非日常”に侵食されていた」作品と言える。

サンバの音楽によって可視化される世界の“侵食度”は、いかにも映像的。他にも、序盤でよしなが先生の目の前を電車が通り過ぎるカットや、野原家から離れていくバスを捉えたカットなど、ハッとさせられる場面がいくつか見られた。ただ、そういった映像の力に比べると、終盤の話の畳み方に関しては力負けしている。敵の戦闘員キャラクターたちも画面にそぐわない感じがした。
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