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わが生涯のかゞやける日のmhのレビュー・感想・評価

わが生涯のかゞやける日(1948年製作の映画)
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公開当時の現在――終戦直後が舞台のサスペンスとロマンスの娯楽作。
戦争の継続を目論む青年将校に、大臣である父親を殺された娘が主人公。貴種流離譚というわけでもなくダンサーとなって厳しい世の中を生きている。
暗黒街のボスは新聞社も経営している。のちに味方になる宇野重吉は、また別の新聞社(おろらく赤旗)に勤めている。
落ちぶれているのがもうひとりいて、モヒ中だが凄腕の用心棒という、背景/人物設定がかなり複雑。ただ、わからないほどでもないのが、のちに日本映画を背負って立つことになる新藤兼人の脚本のうまいところ。
バーではハイボールを頼んだり、ストローで飲み物飲んだりと、本編はモノクロながらも、色鮮やかな戦後が伝わってくるのが良かった。
のちの任侠ものではごまかして終わることが多いのに、最後まで描いた結果、自首エンドというなんだかんだで珍しい締めくくりかたをしてるのもいいよね。
タイトルに採用しているセリフも決まっている。
前年の「安城家の舞踏会」では床の上を滑る拳銃が鮮烈だったけど、今回も似たようなプロットがある。組み合って戦ってると遠くに拳銃。カット変わって、そのアップとかそこのテンポとかが、めちゃくちゃかっこいい。
脚本の時点でGHQから、完成後は検察庁からリテイクを食らって短くなったとのことだけど、もともとの長さのものも見てみたい。
面白かった!
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