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コード・アンノウンのbennoのレビュー・感想・評価

コード・アンノウン(2000年製作の映画)
4.1
ミヒャエル・ハネケ監督作品9作目…。

健常者以上に動きに対して洞察力があると思われる聾唖の子供たち…ジェスチャーゲームでなかなか伝わらず涙ぐむ少女…

時間に追われ恋人の弟ジャンに耳を傾けられないアンヌ…

自分の怒りを弱者にぶつけるジャン…

他人の行いを正そうとするがうまく伝わらない黒人青年…

不法移民で声を出せない物乞いをする女性…

法の名の下に先入観に満ちた警官…


この作品の特殊な編集…それぞれの人物のエピソード映像を断片的に、それも意図的にバラバラに羅列します。それを観ている側が勝手に編集、組み立てます。『71フラグメンツ』と多少似ているところも…言葉にすると複雑そうですが…不思議と物語が繋がっていきます。

日常で何気なくとっている行動ですら、相手によっては差別や偏見、人種や貧困…といったものを感じ取り、知らないうちに我々は判断し、行動します…それを映像によって見せつけられます。

わかりやすいエピソードとしては…ジャンが自分の怒りから物乞いをしている女性に嫌がらせを…それを見ていた黒人青年はジャンに詰め寄ります。そこへ警官がやって来ますが、話半ばで逮捕されたのは…黒人青年…。

物事の多くは、言動や動きで伝わっていると勝手に思い込んでしまっている事による"discommunication"…ハネケ監督が一貫して示しているコミュニケーション不全です。そこから生まれる不寛容がいかに個人を偏見と差別によって孤立させるか…。


  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜





映画のタイトルは”Code Unknown” (仏題 Code inconnu)… code は記号、規則、言語…など多義語で共通認識、理解出来るもの…

ここではアンヌのアパートのオートロックが変更されていた為ジャンは入ることが出来ませんでした…「知らなかった暗証番号」がメタファーとして用いられます。彼にとっては意思疎通を拒絶され、それに怒りを覚えのです。

ラストは…コミュニケーションに於いてのハネケのダメ押し!

オープニング同様、聾唖の少女がこちらに向かってジェスチャーで何かを伝えます…。

しかし……伝わりません……。

相変わらず「人生で答えがわかる事など無い」というハネケ監督のスタンス…
ブレてないです!! カッコいい!!


thanks to; Takayukiさ〰︎ん*:..。o○☆*
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