ハレルヤ

白い巨塔のハレルヤのレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
4.0
浪速大学の助教授として日々執刀を取る財前五郎。教授の東が定年退職するのを期に、自らが後任の教授になろうと野心を燃やす。しかし財前を嫌う人間が他の候補者を推し、病院内の権力争いが巻き起こる社会派ドラマ。

超有名な本作。今まで映画版のみならずドラマでも何度もリメイクされているほど高い知名度を誇る作品。恥ずかしながら今回が一連の映像化された作品で初鑑賞になります。

60年近く前の作品でモノクロですが、昔の日本映画の名作と同じような雰囲気。映像などのギミックに頼らないストレートな人間同士のやり取りに飲み込まれた2時間半でした。

オープニングから実際の手術のシーンから幕を開けてビックリ仰天。その時点でこの映画が只者じゃないのが分かります。腕は確かだが放漫な態度で一部の周囲からは反感を受けている財前。何としてでも教授の座をモノにしたい彼の強欲さがその後の波紋に繋がります。

教授の地位は選挙によって決められる。それに気を取られ続けた財前は本来検査を進めるはずの患者を見過ごし、そのまま結果的に死へと追いやってしまう。それを受けて裁判沙汰になる終盤もかなりの見もの。

とにかく財前を演じた田宮二郎の演技力に圧倒されました。あの眼力の凄みは三船敏郎を彷彿するもの。当時の俳優さんの凄さには改めて驚かされます。

医学界のみならず他の業界でもある権力争い。それに伴って発生する内外の問題の数々。それを2時間半の中でまとめるのはかなり難しかったでしょう。所々状況をナレーションで説明するのもカットしたところが多くあったからだと思いますね。

ドラマ版では色々と細かいところまで描写されていそうですし、この映画版の後のストーリーまであるらしいので、また機会を設けてじっくり見てみたい気持ちになりました。
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