Toineの感想文

英国式庭園殺人事件のToineの感想文のレビュー・感想・評価

英国式庭園殺人事件(1982年製作の映画)
5.0
【暇を持て余した富裕層の宮殿遊戯】
グリーナウェイ監督のレビュー3作目。
久しぶりに観直しました。
全編通してショットの一瞬一秒が絵画そのもの。
温室に置かれたフルーツが油絵にしか見えない。
トリックアートのような。
3次元と2次元が融合したかのような。
何回観ても最高すぎる世界観…。

こちらは監督の長編デビュー作品ですがもう既に、強迫観念すら感じるシンメトリーと一点透視図法への固執がすごすぎてとても気持ちいい。
そこに初々しさもプラスされていて好感度が爆上がりですー!

役者の所作、炎の位置、光と影の配置、風の方角、全てが監督の計算で導き出された美醜。
優雅でありながら厳格で退廃的。
不気味な双子や銅像になりきっている男性など、登場人物のキャラもぶっ飛んでて惹き付けられます。

予想に反さずレンブラントの絵画時代のオランダ人の服装の人物もさり気なく登場いたします。
個人的には特にお貴族の皆様の衣装デザインがとても素敵なのです。
特にメンズ服!
贅沢なレース。裾のプリーツ。
ロココの風を感じるシルエットが可愛すぎる。
17世紀~18世紀のファッション大好き♡
怒りん坊お貴族ルイ様のヅラの形などもお気に入りです♡♡

画家さんが黒服の時はお貴族たちは白服。
画家さんが白服の時はお貴族たちは黒服。
こういう服の色の組み合わせ1つ取っても、ゾクゾクするほど性癖に刺さります。

最後のシーンはレンブラントの「夜警」と「テュルプ博士の解剖学講義」のオマージュでしかなくて毎回ニヤニヤしながら観てます。
グリーナウェイ監督のレンブラント好きすぎる問題😂

オープニングの多分カストラートを模したカウンターテナーのお歌、アルファベットの言葉遊び、貴族の独特なアクセント、多言語使用、マイケル・ナイマンさんの劇伴。
目だけでなく耳も心地よかったです。
そして意外にもちゃんとミステリーしててストーリー性があるのもポイント高し!
こちらのデビュー作から更なる伸び代を感じさせる作品を生み出して行くグリーナウェイ監督は本当に恐ろしい素晴らしい一生ついて逝きます。