ピーター・グリーナウェイ監督作品。
名誉革命に対する皮肉ですか…
本作の主人公・ネヴィルは画家であり、物語としても風景画の奇妙な依頼を受け、描くことで展開していくから、「絵画」が中心的なテーマである。さらに絵画的な構図とその美しさは画家を志してもいたグリーナウェイ監督の作家性だろう。この美しさを享受するだけで本作をみる価値は十分にある。
時代背景は全く違うが三枚舌外交といった「裏切り」を「英国式」と言うのであれば邦題も十分に本作の魅力を伝えているが、原題『THE DRAUGHTSMAN'S CONTRACT』もとてもいい。つまり「契約」とその破棄をもたらす「裏切り」が本作の主題系であることを示している。
ネヴィルは、風景画のデッサンを禁止によって制約されている。しかしその禁止の背後で対象が奇妙に配置され、裏切りが公然と行われる。そして嵌められていく。
彼らの風景は、革命の風景だ。
革命は無血で達成されたと評価されるが、裏では、人々は下ネタしか話さない社交といった薄っぺらい生活の中で、裏切りあってしかいない。表面はきらびやか、裏は汚い。なんという皮肉でしょう。
グリーナウェイの作品は、大勢の人々が動き回っている方が面白いと思うから、本作のような少人数の会話劇が多くのシーンを構成しているのは少し退屈ではあった。しかし絵画的構図の美しさは長編第二作で既に健在であることに驚いたし、凄すぎる。