昼行灯

英国式庭園殺人事件の昼行灯のレビュー・感想・評価

英国式庭園殺人事件(1982年製作の映画)
3.8
台詞が多い割に感情があまり伝わってこなくて、登場人物の本心は推測するしかない。けどそこに事件の真相があるという、、歴史と美術、神話の知識を総動員させられたら、すごい面白いんだろうな わたしは極東の若造なのでそう考えることしか出来なかった🥹衒学趣味奴~🎶

けどまあ女の強かさを鑑賞することができて嬉しかった🎶性的魅力で画家を釣っているようで、実は画家との性交は母娘にとっても利益となっているというのがよかった。終盤夫に男顔負けの啖呵を切る娘の長丁場スカッとしたな。この母娘は財産相続の知識もあれば神話絵画の知識もあって、もう男(概念)やんという感じなのだけど、歴史を考慮しても、なんでこれまで抑圧に耐え続けていたんだろう。この物語に出てくる男はみんな去勢されているように見える(女の下ネタに曖昧な反応しかしない、化粧をしている、髪長い、夫不在の中皆妻に媚びへつらっている)からなんか行けそうなんだけどな。

作中に出てくる作画に使う黒い枠?もいいモチーフだった。あれがフルショットで映された後に画家の書き途中の絵がクローズアップされると、絵と画家の主観ショット、観客の目線が一致する。この映画はミステリの割に探偵役がいないし、ミステリを解く謎は絵に隠されてるから、観客が自然と推理するようになる。黒い枠とスクリーンの枠が一致するという意味で、お得意のメタ構造にもなってる。あと野外シーンは一点透視図法がかなり強調されて使われてて西洋絵画意識してるなあと。そのおかげで対称的な庭園の造りも伝わってくる。野外で光量が多いシーンが多かったからこそ、ラストの暗闇のキアロスクーロが際立つというのもある。
絵に書かれた要素の裏の意味を読み取るというのをわざわざ登場人物に説明させるのはどうかなーと思った。別に言わなくても分かるなあ。てか観客に美術批評の思考をさせる映画って考えたらすごい

銅像のふりをしてる男性の役割もすごく面白かった。始めらへんちょっと意識飛んだから、わたしの知らんキャラがいるんかと思ってたけど、普通に説明のないキャラだったっぽい😇事件の一部始終を知ってるという意味では観客の立ち位置に近いと思った。観客は登場人物に意識されないという意味でも。
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