伊達巻

セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身の伊達巻のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ぶっ飛んだ話なんだけど不思議なくらい淡々としていて変な映画だった面白かったOP死ぬほどカッコいい、観終わってなるほどとなる。真っ裸でブドウ浴びながらドチャクソに騒ぎ回る祭のシーンの陶酔感が半端じゃなくて最高なんだけどあれにも裏があるのかと思うと恐ろしくも思える、と今は冷静になれるけどあんな状況じゃあ確かに「これでいいのさ!」になっちゃう、途中までは民俗学者もどきみたいな態度して観てたのだが。あのあと大乱交でも始まるんだろうか。第二の人生への期待。昔の自分、いやいま鏡に写る皮の裏にあるはずの自己の写真を懐かしむように眺めるシーンが切ない。いくら環境を整えられたところで内面と向き合い葛藤すること無しに人生に満足するのは無理だろう、少なくともおれは無理、組織の用意する全く新しい第二の人生の始まりは永遠の孤独の獲得であると同時に、孤独そのものの迷子と向き合うことに始まる奇妙なユートピアへの入り口でもある。「ぜんぶこっちでやっときますから」みたいなボスの台詞がいちばん怖い。素晴らしいラストシーン、ノーランのインセプションを思い出した。まるではじめから全てが夢だったみたいにぐにゃりと歪む記憶。めちゃくちゃに悲しい
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