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七人の侍のmatchypotterのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.8
レビュー777本目🎉🎉
故に、『“七”人の侍』。

もうすぐ777本だと思って、7にちなんだ作品、何が良いかなぁ〜としばらく前から考えてたら、他にもいくつかあったけど、これ以外に選べなかった。

観るの2回目だけど、また観て良かった。
たぶんこれから何回も観そう。

世界の黒沢。
この作品が後のルーカスやスピルバーグと言った名だたる世界の名匠に影響を与えたとされる作品。

確か『犬ヶ島』のジャパンプレミアに参席させてもらった時にウェスアンダーソン監督も「黒沢に憧れて監督になった」と言ってた。

日本向けのリップサービスだったかも知れないが、50年以上も前の映画が、時を超えて世界に名を轟かせ、影響を与えていることがシンプルにスゴいと思った。

この映画はもちろん白黒。
色が2色しかない。つまり、現代の映像コンテンツからすれば情報が欠けている。
欠けているのだが、もう、それぐらいがちょうどいいとさえ思えてしまう作品。
仮にフルカラーだったとしたら、逆に情報量が多過ぎて人の脳では処理し切れないのではないか、とすら思える。

そして、欠けているとは言ったものの、何でか欠けてるとは思えない。

観ている映像は確かに白黒なのに、色が見えてる気がする。
それは、人の脳が色を付けようと補完能力を働かせていることもあるのだろうが、この映像が色を訴えてくる。

田畑、森の木々、乾拭き屋根、燃える家、焚き火、山道。
そして、雨や風、日差しや人の汗。
そうした情景と天候と人の表情。
雄大な風景と動きが、明らかに色を補っている。

だから、もう、色なんか必要ない。
これが完成形。

三船敏郎ほか、七人の侍と貧しい集落の農民。
年貢を取り立てられるどころか身ぐるみや家族も好き勝手搾取されながらスレスレの生活で生き長らえている農民と、もともとはそうした年貢で生きている武士。

この絶対的な、この時代では間違っても埋まらない身分の差。

その絶望的な差を見せつけながら、ついぞそれが1つの生死をかけた抵抗によって半ば強引に引き合わされ、摩擦を起こしながら混じり合う。

武士も農民もワラワラいても、それぞれのキャラが立ち、それぞれの意志が見えて、それぞれに愛着が湧く。

200分超えの超大作。
途中で「休憩」テロップありの壮大な支配への抵抗。
犠牲を払いながら、絶対的不利に立ち向かい、思いと機転と根性で乗り切る。まさに、命をかけた抵抗。
長尺でも一切の中だるみのないテンポの良さ。

2日がかりで観ようかなぁ〜ぐらいで観始めたら面白過ぎてワクワク止まらなくて、一気見。

これはホント傑作だと思う。
そりゃ映画を作りたい人ならこんな映画を撮りたいと思っても何ら不思議ではない不朽の名作とはこのこと。
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