きゅうげん

七人の侍のきゅうげんのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.3
古今東西、それまでのエンターテイメントをすべて吸収し、それからのエンターテイメントすべてに影響を与えたといっても過言でない映画。
パロディやオマージュを捧げた後続作品は枚挙に暇がありません。最近では『007 スカイフォール』や『マッドマックス 怒りのデスロード』などにチラッと目配せが。

カリカチュアなほどマンガチックな登場人物に、その関係性の機微や物語的起伏など、すばらしい娯楽的要素と、唐棹による脱穀や田植え歌など(再現性はともかく)時代性の担保としてのリアリティ要素とが映画的なカタルシスとも密接に絡みあい、相乗効果で本作の魅力を高めています。
それになんといっても、泥と雨のなか繰り広げられる大立ち回り。誰か一人くらい荒馬のうしろ蹴りで死ぬんじゃないかってくらい、みんな一生懸命にフルコンタクトです。

それにしても東宝制作の1954年公開作品ということで、端役の顔ぶれが『ゴジラ』とカブりますね。ノンクレジットのモブも豪華で、なかなか贅沢(……というより大部屋俳優たちも仲代達矢も、本作の出演が出世の契機なんですね)。
ちなみに初めに声をかけたものの手酷く拒否する浪人は、鉄腕アトムや妖怪人間のベロで有名な清水マリさんのお父様だとか。
ところでしかし、映画中盤にて炎上する野武士の根城が『THE FOREST』の食人集落にしかみえねぇ……。