多タロ

七人の侍の多タロのネタバレレビュー・内容・結末

七人の侍(1954年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

初の黒澤明作品の視聴。戦後間もない1950年代の作品ということでどうしても台詞が聞き取りづらい部分があり早々に字幕をONにしたものの、これ以外で不思議なほどに古臭さを意識させられることはなく、3時間半というインド映画並みのボリュームもさして気にならずに楽しめた。
基本が浪人をメインにした群像劇であるものの、1人だけミュージカル映画の世界線から紛れ込んだのかというほどひょうきん(というか芝居がかっているというか)な三船敏郎演じる主人公・菊千代はじめ七人の侍のキャラがある程度きっちりと立っている点は見易く嬉しい。野武士に襲われる側の農民たちは基本的に弱者として描かれるものの、ところどころ弱者なりのしたたかさというかずる賢さやが垣間見えたり、弱いが故の脆さや非合理的な感情で動くシーンに見ている側としてはイライラさせられたりもするが、その生の人間のようなリアルさも引き込まれる。
終盤の土砂降りが降り注ぐ中での野武士との戦いは泥臭さの教科書のような圧巻のシーンの連続で、こういったものが好みな自分としてはもっとリスペクトした映画が出てほしいと望んでしまう。
少し小骨が刺さったように感じる気になる点は繰り返しになるが一応の主人公菊千代の最期がなんだか呆気ない点。大人の事情もあるんだろうがポスターやキービジュアルにデカデカと三船敏郎が描かれていると彼メインの話だと思っちゃうじゃん。
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