多タロ

悪人伝の多タロのレビュー・感想・評価

悪人伝(2018年製作の映画)
3.7
個人的マ・ドンソクを観ようキャンペーン第2弾。
W主演的作風だがメインはマ・ドンソクのようで、実際武井壮に似たキム・ムヨルなるもう一人の主人公は少なくとも日本ではさほどの知名度はないよう。
謎の連続殺人犯に翻弄されるマフィア組織のボスと不良警官のサスペンスタイトルで、表社会と裏社会それぞれに権力を持った二人の男のバディもの的要素も有。個人的には大きいお姉様たちにもウケそうな気がする。


※以下ネタバレ
(とんと続報が無いために企画倒れかもわからないが)スタローン主演でリメイクが決まったという話も頷ける良作。
前述した通りマ・ドンソクを目当てに観たためにざっくりメインの演者3人に焦点を当ててみることにするとして、まず彼演じるドンスが冒頭からサンドバッグに敵対組織の人間を詰めて殴り続けるというわかりやすい狂人でこれには満足。実際脚本や血に塗れるアクション、果ては終盤路地裏を車で駆け抜けるカーチェイスなどストーリーも良いものの、やはり主演個人のインパクトが大きく、日本版のキービジュアル(?)も半分以上を彼が占めているため、彼目当ての似たような視聴者は少なくないと思うのだが、だからこそドンスと対をなす警察官のテソクがどうにも迫力に欠けるところがあり、少々残念。犯人逮捕のためなら我が道を行く性格やガチムチコワモテのドンスに物怖じすることなく立ち向かい、ひいては車で轢いてしまうというやり過ぎなキャラクターは魅力的ではあるものの、残念ながら役者の格として見劣りする感が否めない。
そしてある種の黒幕というかな連続殺人犯については好悪は別れるかもしれないものの、謎めいた存在から一転、終盤メッキが剥がれるように小物臭が拭えなくなるような作り方が個人的には⭕️。さすがに犯行に及んだ動機というかバックボーンはもう少し掘り下げてほしい気もするのだが、法律を盾に死刑はないとたかを括っていたところからのドソン降臨というクライマックスは秀逸。敢えて台詞で説明することなく観客にこれから起こるであろうことの顛末を想像させて真綿で首を絞められるようないや〜な(もしくは痛快な?)話の締め方をするのも良き。
どうしても個人的に未だ冬のソナタ的イメージが強い韓国映画だが、パラサイトなりこの悪人伝なり良いものは良いんですねぇ!
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