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七人の侍のvilljobbaのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.0
午前十時の映画祭にて。
7月7日に7人の侍を観れるとは、粋な計らい。

映画好きを自称していながらようやく初見。まだまだ映画オタクの道は遠い。
中二病の頃は「邦画とかクソだわーやっぱ洋画ですわー」とか言って白黒邦画は避けてたけど、世界のクロサワがそんな素晴らしい洋画たち(スターウォーズすら含む)の先輩なんだぞと当時の自分に言って斬り殺したい。
60年以上前のモノクロ映画なのに、200分間ストーリーにのめり込み、戦闘シーンが迫力満点で(しかも戦略性もバッチリ)、途中でトイレにも行かせてくれる(休憩の演出はサプライズだった)。いつの時代でも素晴らしい映画なんだな。

まずはストーリー。全く飽きさせないところはもちろん素晴らしいけど、特に勧善懲悪ではない点が好き。極悪非道の野武士を正義の侍が成敗する映画ではない。生きるのに必死で完璧ではない侍と百姓。それを象徴する三船敏郎の演説は心に直接刺さってきた。戦国時代こえー。村社会こえー。

なにより魅力的なのはキャラクターで、キャストは三船敏郎しか知らないのに、7人の顔がゴッチャにならない。キャラ立ってる。
最初の登場シーンがキャラ違いすぎて人違いかと思ったら、再登場して「やっぱりお前だったんかい!」となった三船敏郎。思ってたキャラとは違うけど、彼には感情移入しやすく、物語に笑いを届け、周りを鼓舞し、戦いの中で成長する。思ってたのと違い方向でのカッコ良さ。
なんか既視感あるキャラなので、彼がモデルになったキャラを何かの作品で何度も観たのかもしれない。
観る前は三船敏郎が演じると思ってた侍チームのリーダー、勘兵衛がマジ侍。力・知恵・勇気のトライフォースを持ってるキャラ、憧れるね。三船敏郎が目立ってるけど、やっぱり彼が主人公ということで良いでしょう。
現代人っぽいタイプのイケメンの勝四郎もコメディ的シーンがあって面白い。唯一戦闘慣れしてない若造だからか、それとも私と同じでイケメンで優しくて真面目なサムライだからなのか、感情移入できる系男子だった。
そして最高にカッコ良くて強くてシブい顔の久蔵さんが推しメン。完全にマッドマックス4なシーンがカッコ良い。
「こいつもしやルパンの五ェ門の元ネタじゃね?」と思って後で調べたらマジで元ネタだった。キャラ同じだこれ。
百姓たちも、悪役の野武士と対照的な良心的市民ではなく、自分が一番大事なワガママで人間臭い連中なのがまたイイ。

欠点を挙げるなら、(私が現代人なせいで)日本語字幕が欲しいレベルで聞き取れないセリフが多いこと。最初の野武士と百姓のセリフは1ミリも分からなかったのでストーリーについていけなくなるとこだった。

現代の日本が文化を売りにできるのも、この七人の侍のような最高のメイドインジャパンの数々のおかげだと思う。
THE日本映画の称号に相応しい!
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