ジェイデンくん、ホント父親の血筋を引いてる。
この頃はまだ可愛らしいけど、愛嬌があってイケメンになることが約束されてるような端正な顔立ち。ドレッドがめちゃ似合う。
オリジナルの方の『ベストキッド』はたぶん観たことないのでまたいつか観てみたい。
アメリカ生まれ、アメリカ育ちの母親と子供が母親の転勤の都合で2人で中国へ。
心機一転、希望に胸を膨らませながら、そして、不安を抱えながら。
案の定、言語の壁や文化の違いにぶつかり、英語が喋れる数少ない友達はできるものの、この頃のお年頃の男の子には過酷でストレスフルな日々が続く。
バイオリニストを目指す、可愛い女の子に惹かれるも、ガタイの良い少年たちに目をつけられ、ちょっかいを出されて踏んだり蹴ったり。
何とか中国での生活に馴染みながら、少年たちに抵抗したい、、、そこで、巡り合う“カンフー”、、、そして、住まいの管理人、ジャッキーチェン。
いよいよ彼の孤独感とストレスが極限に達す。
このガタイの良い少年たち、カンフーをたしなむ。故に彼を走って追うテクニックがスゴい。もはや、パルクール。身のこなしとバランス感覚がスゴい。
そして、あのジャッキーとそれなりにそれらしい組み手を見せるこの少年たち、アクションスペック高い。
「最高の戦いは戦わないことだ」
ストレス抱えまくってるジェイデンと、何やら達人級の腕があるのにしがないマンションの管理人に留まってるジャッキー。
ここから彼らの、彼らそれぞれの“戦い”が始まる。
ホンモノの“カンフー”。
いきなり、あの例の“上着着脱”の練習。
他のカンフー映画や、ジャッキー、アンディラウ、ドニーイェンなどが伝えてくるカンフーの極意。
中国の拳法は常に人生や礼、生活や人の体や魂と共にあること。
ジェイデンはそれを教わる。
それを教わり身に付けることは、暴力的に腕力脚力が強くなることではなく、人として、魂として、己を見つめ、心身共に磨きがかかり成長すること。
武道の道に進み、それを覗き、体現することは、人を打ち負かすことではなく、己を律し、己を見つめ、己の力で立ち、自分を清く正しい選択に導くこと。
やんややんやごちゃごちゃ言いながらでもジェイデンの活路にとっては唯一ジャッキーしかおらず、燻って今にも朽ち果てそうなジャッキーのキッカケもジェイデンしかいない。
この歳の離れた親子のようなデコボコ師弟関係。
時に厳しく、時に優しく。
まるでそれぞれ別の課題を一緒に探して見つけて乗り越えていくような。
この作品には、ジャッキーが今まで体1つで数々の映画で伝えてきたことを、国が違おうが、文化が違おうが、言語が違おうが、体格差があろうが、歳の差があろうが。
とてもわかりやすく、別に技の技術的なことや派手さではなく、武道と共にあることで生まれる優しさ、素晴らしさ、豊かさを教えてくれる。
楽しいことも、辛いことも、寂しいことも、切ないことも、いつだって乗り越えるのは自分でしかない。だけど、1人で乗り越える必要はない。
あの車の件から、竹の練習のシーン、このシーンにその色んなことが詰め込まれてて、つい目頭が熱くなる。
何度も観てるけど、最初が少し遅かった。
きっと子供の頃にこれを観てたらほぼ確実に拳法を学びたいと親に願い出てたと思う。
大事なことは技や力ではなく、その源であり、己と向き合うことである。
それがなんたるか、それが“本当のカンフー”。
それは常に己と共にあるのである。
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