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夕陽のギャングたちのヤスヤスのレビュー・感想・評価

夕陽のギャングたち(1971年製作の映画)
4.0
タイトルから「ドル箱3部作」の次の作品かと思っていたが、「ウェスタン」の後の作品だった。
意表を突いたオープニングに問答無用で引き込まれてしまう。その後もI RAとか革命とか、タイトルから想像もつかない内容に度肝を抜かれたが、緩急交えた展開は、さすがの面白さ。
途中、若干の中だるみを感じたり、回想シーンを邪魔に感じたこともあったが、ラストで納得。
何と言っても、見どころは、ロッド・スタイガー演じるファンとジェームズ・コバーン演じるジョンの関係性の変化だが、2人の組み合わせは絶妙で、相乗効果を発揮している。
特に、最近、「波止場」を観たばかりだったので、ロッド・スタイガーのあまりの変貌ぶりに驚いた。山賊から英雄に祭り上げられる男の悲喜劇をコミカルな面とシリアスな面を使い分け、演じ切っている。
また、ジョンを演じたジェームズ・コバーンも良い。裏切った友人を自ら殺したジョンだが、そこには、革命のためだけではなく、1人の女性を巡る感情がある。この複雑な心情の表現に説得力がある。この役のオファーをクリント・イーストウッドが受けていたら、まるで違うものになっていただろう。そもそもイーストウッドのそんな姿を見たくないし…
本作は、興行的には失敗だったようだが、原因は邦題を含めたタイトルと内容の分かり辛さだろうか。「ドル箱3部作」のような単純明快さはないが、本作も、もう一度観たくなる名作だと思う。
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