トリュフォーの作品を観るのはたぶん10~20年ぶり。
ヌーヴェルバーグの作品は苦手であまり手を出さないんですが、出演作の少ないフランソワーズ・ドルレアックの貴重な作品なのでCS録画して気分転換に鑑賞。
トリュフォーが敬愛するヒッチコック風のスリリングな演出なので不倫と並行してなんらかの犯罪が絡んでくると踏んで観てましたが、結局最後まで不倫の話でした。
主人公である著名な評論家が旅先でスチュワーデス(響きが懐かしい)に手を出し、妻子ある中年男と若い女性の絵に描いたような不倫劇が始まります。
講演旅行にこっそり彼女を同伴しますが、予定外の会食はあるわ、主催者はベッタリくっついて離れないわでなかなか二人きりになれません。
似たような経験をした人もけっこういるんじゃないでしょうか。
知り合いの目から逃れるため四苦八苦する主人公たちの姿はもはやコント。
今回スチュワーデスを演じたドルレアックの出演作を見るのは5本目ですが、最初に見たのはたぶんベルモンドと共演の『リオの男』(本作と同年の公開)。
『リオ~』と本作でスターになり、25歳で亡くなるまでの間の主演作は10本かそこら。
そういえば、本作の映画館のシーンでベルモンド主演作のポスターが貼ってあったので『リオ~』かなと思ったら『バナナの皮』という映画だそうです。
今回あらためて魅力的だと思ったのはドルレアックのコメディエンヌぶり。
本作はコメディではないものの、『リオ~』やポランスキーの『袋小路』のときと同じく、エキセントリックなユーモアが醸し出されます。
他には妹のカトリーヌ・ドヌーブと共演した『ロシュフォールの恋人たち』やマイケル・ケインのスパイ物で遺作となった『10憶ドルの頭脳』を観ていますが、その他の作品はなかなか観る機会がありません。
音楽はトリュフォーとはいつも組んでるジョルリュ・ドルリュー。