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ワーキング・ガールの一人旅のレビュー・感想・評価

ワーキング・ガール(1988年製作の映画)
5.0
マイク・ニコルズ監督作。

NYを舞台に、キャリアウーマンとして成功を夢見るヒロインの奮闘を描いたドラマ。

『卒業』(67)のマイク・ニコルズが監督を務めたサクセスストーリーで、NY・ウォール街の証券会社の合併吸収部で働く秘書養成学校卒のヒロインが、スキー中に骨折事故を起こし入院してしまった女部長の代役となって、とある大企業がラジオ局の買収を図っている案件を成功させるべく奮闘する様子を描いています。

入院中の女上司には内緒で、巨額の資金が動く重大案件を勝手に取りまとめていくヒロインの秘密の奮闘を、ビジネスパートナーとなった他企業のエリート金融マンとの恋を絡めて活写していく作品で、まだまだ日本が経済的に元気だった1980年代後半における女性の社会進出を背景としたコメディタッチのサクセスストーリーとなっています。

“一介の秘書が会社や上司に無断で合併案件を取り仕切る”―という設定はなかなか非現実的ですし、それこそコンプライアンス的に大問題となりそうなものですが、学歴がないため出世の道が閉ざされていた不遇のヒロインが自分の頭で絞り出したアイデアで自ら道を切り拓いていく様子が“女性のアメリカンドリーム”を清々しく体現していますし、出世のためなら部下のアイデアも平気で盗む高慢な女上司と好対照を成しています。

成功を夢見る女性の仕事と恋の奮闘をNYの都市風景に乗せて軽快に描いたマイク・ニコルズ監督作品で、ヒロイン役のメラニー・グリフィス、相手役のハリソン・フォード、女上司役のシガーニー・ウィーヴァーが三者三様の存在感を放っています。

蛇足)
劇中ではヒロインと女上司は同い年という設定ですが、実際にはメラニー・グリフィスはシガーニー・ウィーヴァーの8つ年下です。
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