レオピン

黒い傷あとのブルースのレオピンのレビュー・感想・評価

黒い傷あとのブルース(1961年製作の映画)
3.6
罠にはめられ五年もの刑期をつとめあげた男 渡三郎
復讐に身をこがしすぎたせいか やはり好きになった人と結ばれない 
出会わなければよかったとまで言わせる苦い結末

吉永小百合との初共演。女子大生役だが実際はこの時まだ16歳。この出会いが素晴らしい 結構大きめのトランクを電車の網棚から降ろす際に旭の頭に思い切りぶつける。普通ならキレちらかす所だがさすがはアキラ。小百合は舌を出したりウインクしたりしてまだ子供だ。

出所仕立てのやくざがこんなあどけない娘と恋に落ちるなんて。舎弟のジョーと同じく三郎が揺れ動く気持ちが分からない。兄貴正気か。もしかしてロリ・・・

いやそれ以上に過剰な台詞に少々ついていけなかった。出所してきたアキラに郷鍈治がつっかかっていくと次のカットで一瞬で和解していたり 真面目にやれ!
横浜が舞台ということで、木箱が積まれた倉庫での銃撃シーンにあぶない刑事のBGMを合わせて妄想して観てしまった。ちなみにコンテナが日本に入ってきたのは昭和42年だそうな。

ムードアクションというより後年の角川の匂いもする。一応マーロン・ブランド監督作『片目のジャック』がモチーフらしい。
性格俳優の大坂志郎は、悪党の過去を消して今はスーパーの経営者として成功している。小市民的凡庸な悪。不気味さでいえば『男と男の生きる街』の方が上だった。吉永小百合の前で見せる顔は完全にマイホームパパ。しかし今わの際までしゃべらせ過ぎだ。

目だけが笑ってない神山繁と近藤宏、手下のサングラス男の深江章喜(タカの天敵・銀星会会長) 悪役はそれぞれ自信に満ちていて魅力的。

バーの歌手で牧村旬子 喫茶店リンデルのマスターに稲葉義男
演技も歌もみんなくさい。いやクサイのも魅力なんだがどこか軽いんだよナ

親分の仇から大金をせしめて貧乏暮らしをしていた姐さんのところへ届けるが逆に迷惑がられる。あっさりと行動の目的を失った男は居場所を求めて去るしかない。

お話よりも旭のスタイルに注目。グレー 紺 ブラウンのスーツを着こなす。タイは細め。白のトレンチコートの襟を立てて去っていく後ろ姿がかっくいい。
今回気づいたが、旭のアクションというのはどこかプロレスっぽい。張り手で相手を倒してショルダースルーしたり。見栄の切り方とか当時のレスラーを研究したのかな。

ブルースが何なのか皆目分かってないおいらだが、後で改めて歌を聴いたらムード🎶あふれるメロディにヤラレました。
黒ぉ~いぃぃ 心の傷あぁとお~

黒い傷跡のブルース/ Broken Promises - Henri De Paris and Orchestra
⇒www.youtube.com/watch?v=3muBb5YIguQ

黒い傷跡のブルース 小林旭
⇒www.youtube.com/watch?v=YLufAh_cS7M

김치캣, 검은 상처의 부루스(1964) Broken Promises
⇒www.youtube.com/watch?v=yZNVRzgLye8&t=177s
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