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ポリエステルのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ポリエステル(1981年製作の映画)
4.0
【4D映画のルーツ】
映画館ビジネスは長年伸び悩んでおり、映画館は近年、匂いや水、空気を出す4Dのような付加価値をつけることで生き延びようとしている。

さて、そんな4Dのルーツにあたる作品をTSUTAYA渋谷店で発掘しました。その名も『ポリエステル』。『ピンク・フラミンゴ』のジョン・ウォーターズが制作した映画だ。

彼は本作のシステムを《オドラマ》と呼んでいる。《オドラマ》とは、画面に数字が表示された際に、手元にある匂いカードの数字を削り匂いを嗅ぐことで臨場感溢れる映画体験ができる仕組みだ。残念ながら、今回借りたVHSにはオドラマカードは付いていませんでした。

ただ、考案者はあのジョン・ウォーターズ、まともな匂いがカードについていないことは明らかだ。どうやら、オナラ、ガソリン、スカンクの匂いなどをカードに仕込んでいるのだw流石は《汚ドラマ》

こう聞くと出落ち映画に見えるが、C級映画としても面白い。劇場公開間際のポルノ映画監督の家が舞台。ポルノ監督の夫、パリピな娘、ジャンキーな息子に頭悩ませるマツコデラックス似のオカンが主役。

外ではポルノ映画反対暴動が起きており、オカンはまともに外にすら出られない。

娘が通知表を持ってくるが、オールFの落第点。「通知表システムが変わって、FはファンタスティックのFよ」と抜かし、更には中退してゴーゴーガールになるとまで抜かす。

そう、これはジョン・ウォーターズ版『家族はつらいよ』なのだ。強烈で下品な人間模様ながら、しっかり家族の軋轢、悩みを描いており、下品さから世の中に蔓延る差別が滲み出る。そして、しっかりと因果応報もある。

これは面白かった。
本作は『グランド・セフト・オート』好きに特にオススメしたい。

P.S.TSUTAYA渋谷店のVHSは劣化が酷いので、興味ある人は早めのレンタルオススメします。『映画 島耕作』並に近々VHSでも観られなくなりそうな作品だ。
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