エアール

ゴールデンボーイのエアールのレビュー・感想・評価

ゴールデンボーイ(1998年製作の映画)
3.8
ブラインアン・シンガー監督×スティーヴン・キングの組み合わせ
ーーもう何も言うことなし 笑

イアン・マッケランの威厳、存在感たっぷりの芝居、
今は亡きブラッド・レンフロの心の闇、
双方の狂気、
存分に楽しむことができました!!


さて、おびえた老人のお話を聞かせましょう。
老人が恐れていたのはひとりの少年。
少年は老人の奇妙な友達だった。
少年はとても優秀な生徒で
ーーもっとも少年の両親や教師が考える意味とは違った意味で。

はじめの頃
老人は少年を嫌っていた。
だが、次第に少年と会うことを楽しむようになった。
もちろん、まだ強い不信感は拭えない。
2人は互いに相手の秘密を知っていた。

やがて老人は
少年への支配力が衰えはじめたのに気づいた。
いつか少年は老人を必要としなくなる。

そこである眠れぬ晩に、
老人はベッドから起きて
少年とのかかわりをすべて書きとめた。
覚えているかぎり何もかも。
最初の日からすべて、
少年が現れ、陰湿な手段をこうじて老人をおどし、残酷な話を病的なまでに聞きたがったことを。

だが成績が著しく落ちると
老人のせいだと責め、祖父になりすませと命じたことを。

12枚にもなった原稿を書き終えると
関節炎で手が痛んだが
老人は気分がよかった。
これで安全だ。

翌朝
老人は一番いい背広を着こみ
地元の銀行に出かけて行き
貸し金庫を借りることにした。
銀行の係員は、こう説明した。
貸し金庫を開けられるのは老人だけ。
ただし、ひとつ例外がある。
その例外とは、
貸し金庫の借り主が死亡した場合だ。
銀行係員と国税局の立会いのもと
金庫が開けられ中身が取り出される。

だが、この老人の金庫から見つかるのは
わずか12ページ分の書類のみ。
税金の対象にはならんがじつに興味深い内容が綴られている。

もし老人が長生きして
少年の知る秘密が重要でなくなる日が来たら
その時は必ずあの書類を破棄すると約束しよう。

ケセラセラ…
どうにかなるさ。
先のことなど運任せ、ケセラセラ…

少年が何を考えているのか、
老人にはよくわかる。
老人を殺そうという、激しい目。
ナイフを突きつけて事故に見せかけ
階段から突き落とせばことは済む。

年老いた老人と若く怒りに燃えた少年の構図、殺す動機は十分にある。
だが何かが欠如しているのだ。
それは少年をコントロールする人間。
どうすべきなのか、実のところよく分かっていない。
少年は、まだ人を殺すことを決心できないでいる。
殺すパワーはあるのかね?
どうだね、これはなまやさしい質問ではない。

これでおしまいだ。
はじまりと終わり、少年は賢いから分かるはず…。
老人と少年は互いに地獄の底まで一緒なのだ、ということを。


1984年
成績優秀、進路も控えた高校3年生のトッド・ボウデン、
夜、彼がバスの中で乗り合わせた一人の老人
ーーレインコートに帽子、カサを持ち、乗車した老人、
アーサー・デンカーと名乗り、独り慎ましく暮らしているがその正体は、
元ナチ高官 クルト・ドゥサンダー
ーー40年以上にわたり
3大陸においてその行方を捜されていた戦争犯罪人。

老人がドゥサンダーであることに気づいたトッド、
真相をバラさない代わりに、過去の話を強要する
ーーユダヤ人虐殺の細かい話を、決して学校の授業では語られない話を。

度重なるその要求が
老人の過去と心の闇を甦らせてしまうとは知らずに…。


聞きたいことがある。
人を殺す気分、それはどんなだ??
自分ならなんて答えるだろう…。


ちょい役でしたが
トッドに好意を寄せる女子学生ベッキーことヘザー・マコーム、
さらに病院のナース役でDanna Dennis
ーーこれが凄まじく美人!!!
ちょい役なのが惜しい 笑
エアール

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