PARADISO

桐島、部活やめるってよのPARADISOのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.8
2012年8月11日 劇場鑑賞。

自然にヒエラルキーが確立された学園生活。
そこで日々過ごす高校生達の其々の視点を通して描かれるのは、日常的には良く有る事柄を起点にさざ波の様に拡がる奇妙な不安の波紋。
その波紋に少しずつ崩れていく学園内のバランス。
学園生活のヒエラルキーの頂点に居た生徒が取った何て事もない行動に振り回されていく、親友、恋人、部活仲間・・・。
更にその不安定さがヒエラルキーの下部に属する者達に波及した時に、 其々が秘めた感情が弾け飛ぶ・・・。

学生時代、其々の立場で味わった空気感がジワリジワリと観る者の身体を包み込み、気が付くと何れかの登場人物に自分の感情を委ねている。
見事なラストの畳み掛けと、切なくもどかしい雰囲気で話を〆る感じが堪らなく良い。
吉田大八監督の手腕と、それに応えた若手俳優陣が生み出した青春群像劇の傑作。
神木隆之介、橋本愛の安定した演技は勿論、特筆すべきは映画初出演の東出昌大の存在感。
ある意味、彼が物語を牽引したと言って良い程。

劇場で観るべき作品。
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