こまだこま

わたしを離さないでのこまだこまのレビュー・感想・評価

わたしを離さないで(2010年製作の映画)
3.6
泣いた泣いた。初恋系弱くてだめだ。初恋ではないのか。作品内で主人公が恋と気づかないくらい、相手のことが愛おしくて大切すぎる存在だったのかもしれない。ただ、己の本当の気持ちに気づいた時は時すでに遅し。過ぎ去った時間を取り戻すことは難しくて。でもその遠回りがあったからこそ本当の感情に気づくことができる。
嫉妬からトミーとキャシーの仲の間に入り込んだルースの想いもとても人間的だった。死期がせまり最後にそれを償おうところが素直で、けれど彼女の人生としては報われないところが残酷だった。
あとトミーの幼少期から成長するまで変わらない無邪気さや幼さが、本当の意味での大人になれずに命を終えていく主人公らの運命を物語っていたようで苦しかった。
救いを求めようともがいても、運命というものは早かれ遅かれ逃れられない。自身にも提供が迫りきたキャシーが"トミーを知っただけでも幸せだった"と最後に語る、その謙虚さが愛おしかった。
never let me go の言葉がキャシーの人生を温かくするものだと気づいてから題名すら尊い。
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