あらた

フィールド・オブ・ドリームスのあらたのレビュー・感想・評価

4.4
映像の美しさもさることながら、二項対立のどちらにも極端に偏るという不思議なバランスの、よくできた脚本が素敵。

一つ目の二項対立は「ファンタジー/リアル」である。天のお告げでトウモロコシ畑を潰して野球場を作ると、不遇のうちに亡くなった往年の名選手がやってきた、というひどくファンタジックな話がベースなのに、そこには常に経済原理がまとわり続け、物語の着地も経済的な問題の解決と同時になされる。

二つ目の二項対立は「個人/アメリカ」である。登場人物の多くは悔悟の念を抱いて、生きて(あるいは死んで)存在しているのだが、この映画はその個人的な感情一つ一つにしっかりとした結末が与えられている。その一方で、この映画自体は大きなアメリカ論になっており、アメリカの良さとは何か、この国のどこが変わってどこが変わらないのか、と観客に問いかけてもいる。

これらの二項対立について、間でバランスを取るのではなく、両方に重心が乗っているような印象を受けた。
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