きゅうげん

ハロウィンのきゅうげんのレビュー・感想・評価

ハロウィン(1978年製作の映画)
4.3
スプラッター映画のパイオニアはとってもクール。画づくりはソリッドでその惨劇もシャープです。音楽もカッコよすぎる。
無言のマイケルくんに聡明なローリー、ずっと不機嫌なルーミス先生などのキャラクター性も、この映画の冴えた魅力のひとつ。
また恐怖演出も控えめで、かえってブギーマンが画面上にあらわれた瞬間の恐ろしさが割増になってます。

ところがそんな理知的な姿勢とは裏腹に、横たわるテーマには性愛に関する濃厚な香りが。
セックスを終えた実姉を襲うインモラルさや、心身ともに若さを愉しむ被害者ティーンエイジャー、コンプレックス的悩みを抱える主人公など、鬱屈や解放を交えてハロウィンという祝祭感の異常な発露を描いています。
とくに血縁者に固執するマイケルくんの存在は、あまりに非人間的な根源的恐怖そのものを体現していて、やはり“ブギーマン”の呼び名はピッタリ。
刺され撃たれなお生きている「人間辞めた感」の、常識の外へ超越したキャラクターとなる衝撃は、説得力の要素皆無でも、やっぱりカタルシス足り得ますね。
他だと、武蔵坊弁慶とか『ジョジョ』とか『ドライヴ』とかでしょうか?

ちっちゃい組のリンジー&トミーの微笑ましいやりとりはキュートで、鑑賞時唯一の心の拠りどころ。
長い長いフランチャイズもそろそろ終わりのようで、今こそ再び一見の価値ありです。