りっく

ハロウィンのりっくのレビュー・感想・評価

ハロウィン(1978年製作の映画)
4.2
オープニングがいい。殺人を犯す側の主観視点で2階へと登り、マスクを付け視界が遮られ、殺しが行われる。この殺人犯の正体が判明した時の驚き。恋人ではなく、実の姉を殺すことを選択する幼き弟。それはイチャついてる奴らへの怨念ではない。
「性」への不潔感や嫌悪感から、彼は犯行に至ったのか。それが全く説明されない点が、本作の不気味な恐ろしさだ。

前半はとにかく「ハズし展開」が丁寧に重ねられる。「ブギーマン」をどの程度画面で見せるのか。構図、音楽、照明等、徐々に「ブギーマン」が近寄ってくる恐怖を巧みに演出していて素晴らしい。ロケーションも絶妙で、安全に見える住宅地の中に立つ木々の不穏さ等で、観る者の心をざわめかせる。住宅と住宅の位置関係も理想的。

後半は本格的に「ブギーマン」の残忍さが描かれる。特に印象に残るのは、男をナイフで一突きした後の、彼の佇まい。何の感動や興奮も微塵もなく、ただボーっと死体を見つめる「ブギーマン」。この「無感動」「無感情」っぷりが「ブギーマン」というキャラクターをより一層魅力的なものにする。

「ブギーマン」とは一体何者なのか。それを作り手の演出で限定しなかった点に、本作の価値がある。
りっく

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